<とびらを開く>NPO法人ワールドオープンハート 社会的弱者の声拾う

犯罪加害者の家族支援の講演会で話す阿部さん=2018年10月、仙台市青葉区の市市民活動サポートセンター

 犯罪加害者の家族ら社会的弱者を支援する仙台市のNPO法人ワールドオープンハート。新型コロナウイルスの感染者や家族を対象にした電話相談にも当たっていて、相談内容からは家族と社会の問題が浮かび上がってきます。代表の阿部恭子さんに話を伺いました。

 団体は社会的少数者(マイノリティー)支援を通し、自分らしい生き方を選択できる社会を目指し2008年に設立され、11年に法人化。20年9月に「コロナ差別ホットライン」を開設しました。現在までに寄せられた相談は約70件。病院勤務者、陽性者やその家族が差別されたという事例は、犯罪加害者家族への差別に類似した構図と言えそうです。

 「(自粛ムードの中で)遠出したら差別に遭うのでは」といった不安の声も寄せられており、同調圧力の大きさがうかがえます。

 仕事が減り、生活不安やストレスを抱えた人もいました。新型コロナ禍で急変した暮らしへの対応は、人それぞれのペースがあります。「家族は仲良く、助け合うもの」など「こうあるべきだ」という家族観が強い場合、家族と距離を置いたり他人に相談したりすることができず、問題が大きくなりやすいと阿部さんは言います。悩みを抱え込み、感情を抑え続け、最終的に家族を手にかけてしまう事件も起きています。

 「家族であっても別個の人間。家族単位ではなく、もっと個人として尊重される社会であってほしい」と阿部さん。ただ社会は今、変化しつつあります。法人化後の10年を振り返り「さまざまなマイノリティーが声を上げるようになった。『#MeToo運動』のようにマイノリティーに賛同する、人権問題に敏感な人が増えてきているのは良い傾向だ」と阿部さんは感じています。

 人は一人一人違い、家族も自分とは別の人間であることを忘れずにいたいと思います。

 阿部さんは9月、「家族間殺人」(幻冬舎新書)を出版しました。日本の殺人事件の半数は家族間で起きており、家族の殺人に至る背景を多くの事例で検証しています。
(NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター 菅野祥子)

◎参考情報
NPO法人ワールドオープンハート
加害者家族ホットライン 家族が犯罪加害者となってしまった人を対象
コロナ差別ホットライン 新型コロナ感染で嫌がらせや誹謗(ひぼう)中傷などの差別に苦しんでいる人を対象
相談番号 共通で090(5831)0810
※24時間年中無休、非通知不可。出られなかった場合は24時間以内に折り返す
ホームページ http://www.worldopenheart.com/index2.html

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