<NPOの杜>寄り添う災害支援 啓発/NPO法人ワンファミリー仙台

徳島市での「第2回災害ケースマネジメント研修」。会場とオンラインの両形式で開催された

 仙台市のNPO法人ワンファミリー仙台は、路上生活者をはじめ身寄りのない生活困窮者たちの尊厳を守り、孤立した状態から関係づくりを進め、自立支援を行うため2002年に設立されました。ちょうど路上生活者の増加が社会問題としてクローズアップされ始めた頃でした。来年、設立20年を迎えます。これまでの活動を紹介するとともに、本年度の新しい取り組みについて理事長の立岡学さんに伺いました。

 ワンファミリー仙台の活動は多岐にわたります。具体的には(1)路上生活者や派遣切りなどで住まいを失った生活困窮者のための緊急的な居場所(シェルター)運営(2)身元保証人がいない人や刑務所を出所した人への居所支援(3)死にたいと苦しみ、自死を試みた人や複合的な課題を抱える人への専門家と連携した何でも相談(4)路上生活者とのごみ拾い活動-などです。

 11年の東日本大震災、16年の熊本地震の際には生活困窮者の支援ネットワークや炊き出しなどのノウハウを生かしました。全国のボランティアと一緒に支援物資配送や各避難所での炊き出しなどに当たり、復興支援にも関わってきました。

 現在、ワンファミリー仙台は福岡市の「NPO法人YNF」、仙台市の「一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会」、徳島県美波町の「一般社団法人さいわい」など全国の災害支援団体と連携。被災者支援における「災害ケースマネジメント」のノウハウを全国に広げる事業を休眠預金を活用し実施しています。

 立岡さんは今月22日、徳島市を訪れました。「第2回災害ケースマネジメント研修」に出席するためです。「災害ケースマネジメント」とは被災者一人一人の状況に応じた支援をするという東日本大震災以降の新たな考え方です。16年の鳥取県中部地震後、鳥取県で「災害ケースマネジメント」の条例が制定され、運用が始まっています。

 立岡さんは、南海トラフ地震が30年以内に発生する確率が非常に高いと予測されている徳島県で「災害ケースマネジメント」の考え方を被災前に学ぶ意義は大きいと考え本年度、学ぶ場づくりを同県で実践しています。「まず(災害法制を含め)知識をしっかり得て、その中から自分たちが何をしなければならないのかを考えることが極めて大事」と立岡さんは言います。

 研修は自治体、社会福祉協議会、NPOの各関係者や防災士らが、オンラインの特性も生かし徳島各地から参加。大規模災害の発生時に適用される法律や避難所運営の基礎知識、支援者を支援する必要性について学びました。

 現地の一般社団法人さいわい代表理事・井若和久さんは「先進地と共に学び、災害時への連続的なケースマネジメントとまちづくりを平時から推進していきたい」と意欲を見せます。

 近年、自然災害が頻発しています。路上生活者や生活困窮者、震災被災者への支援の経験を通し「一人一人が大事にされる社会」づくりを目指すワンファミリー仙台。その取り組みは今後災害に遭う地域への啓発となり、災害ケースマネジメントの仕組み作りにも生かされるはずです。(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 真壁さおり)

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