<NPOの杜>障害児 地域と共に成長/多機能型事業所「いっぽ」

リハビリに取り組む子どもたち=8月下旬、気仙沼市の「いっぽ」
気仙沼市旧水梨小の教室を利用した活動の場=10月

 気仙沼市郊外にある旧水梨小。2019年3月に閉校となりましたが、今年3月から障害児支援を行う多機能型事業所「いっぽ」として再利用され、子どもたちのにぎやかな声が校舎に戻ってきました。いっぽは障害児の放課後等デイサービス、生活介護事業など五つの支援事業に取り組んでおり、「NPO法人水梨かふぇ」が運営しています。

 代表の秋山順子さんは法人設立前、看護師として40年間働きました。そのとき障害のある子を抱え、子育てに苦戦する母親をたくさん見ました。秋山さんは子どもたちや保護者の力になりたいと、18年に法人を設立。その年の12月には気仙沼市の自宅納屋を利用し、放課後等デイサービス「いっぽ」をオープンさせました。

 新型コロナウイルス禍で利用者の密を避ける必要があり、20年3月から旧水梨小を一時的に利用しました。すると多くの地域住民が子どもたちの活動の様子を見て、いっぽに協力的な姿勢を見せてくれたといいます。市に校舎の正式利用を要望したところ、地域の理解と協力の実態が考慮され21年3月18日、施設の正式移転が実現しました。

 いっぽは廃校利用のほか、たんの吸引などが必要な「医療的ケア児」受け入れ可能という特徴があり、気仙沼市内の施設で初めてのことです。21年6月には医療的ケア児への支援法が成立し、全国で支援体制の整備が急がれています。いっぽの施設では秋山さんをはじめ看護師が医療的ケアを施すことができ、気仙沼の障害児の子育て環境充実に大きく貢献しています。

 いっぽの子どもたちは地域の住民と一緒に畑を作っています。取れた野菜で芋煮やカレーを調理して振る舞い、交流が生まれています。住民も自分の畑に子どもたちを呼ぶなど、普段から気に掛けてくれているそうです。

 「人との関わりを通し、ルールや地域貢献への意欲を学び、一人の人間として生きがいを見つけてほしい」。そんな秋山さんの思いから、新型コロナで難しい状況にあっても交流の機会を大事にしています。

 秋山さんは「この施設が地域を盛り上げ、気仙沼が少しずつでも住みよい所になれば」と話し、いっぽの子どもたちと地域住民の温かい交流が、地域に元気をもたらすことを期待しています。

 住民に見守られ、校舎で伸び伸び活動する子どもたち。旧小学校という環境も、障害児と地域住民の距離を縮めているのでしょう。いっぽの子どもたちは地域と共に成長していきます。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる インターン・宮城大3年 小松惟乃)

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