年末年始だから飲みたい宮城の日本酒 仙台の販売店に聞きました

 新型コロナウイルス禍の中で迎える2度目の年末年始。帰省を考える人も自宅で過ごす人も、宮城県の地酒を楽しんでみてはいかがでしょう。たまにはお正月に家族と、親しい友人と年越しで…。いろんな場面に寄り添う宮城の一本を仙台市内の専門家に選んでもらいました。(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)

三酒三様 純米吟醸おりがらみ生

(左から)伯楽星、宮寒梅、山和。右端は「おとそにどうぞ」と並べた新沢醸造店のヨーグルト酒=阿部酒店

 「県外に帰省するなら、正月しか飲めない宮城らしい酒をぜひ(土産に)」と話す阿部酒店(仙台市青葉区)店主の阿部隆之さん(64)。県内複数の蔵と特約を結び、希少銘柄をそろえる。いずれも今秋仕込まれた純米吟醸のおりがらみ生酒を挙げて「絞りたての新酒の味わいに、酒かす成分『おり』が入ってうま味も乗っている」と薦める。

 1本目は大崎市三本木の新沢醸造店の看板商品「伯楽星 純米吟醸おりがらみ生」(720ミリリットル1650円、1800ミリリットル3190円)。火入れと呼ばれる加熱処理をせず、フレッシュな味わいだ。入荷してもすぐに完売する人気ぶりだという。

 2本目は同じく大崎市の古川にある寒梅酒造の「宮寒梅 純米吟醸おりがらみ生」(720ミリリットル1650円、1800ミリリットル2998円)。「伯楽星は『究極の食中酒』、宮寒梅は一杯でうまい(と感じる)酒が目標。どちらもフルーティーな酒」(阿部さん)と評する。

 おりがらみ生酒の3本目は、本年度の県清酒鑑評会で3部門(純米、純米吟醸、純米大吟醸)を制した加美町の山和酒造「山和 純米吟醸無ろ過生原酒」(720ミリリットル1650円、1800ミリリットル3300円)。阿部さんは「伯楽星や宮寒梅より米の味わいが乗って穏やかな酒」と評する。「全国的にはまだ知られざる蔵だけど、注目株だよ」と目を細める。

父親と差しつ差されつ 七色の味

(左から)栗駒山、綿屋、あたごのまつ。客足も戻りつつあり、「どれにしよう」と悩む姿も=藤崎

 県内全24蔵の商品を扱う藤崎百貨店(仙台市青葉区)の和洋酒担当、小野寺拓朗さん(29)が「年末年始に父親と飲む酒」として挙げたのは栗原市栗駒の千田酒造が仕込む「栗駒山 蔵の華純米大吟醸」(720ミリリットル3300円)。「封を開けてから徐々に米のうま味が増す。年末から年始にかけて七色の味わいを楽しめる」と言う。酒米は県オリジナルの「蔵の華」。贈答品にも向く。

 栗原市一迫の金の井酒造が生む「綿屋 純米大吟醸酒黒沢米山田錦」(720ミリリットル2750円、1800ミリリットル5500円)はミネラル豊富な地元の中軟水「小僧山水」を使用。華やかな甘さとうま味のバランスが取れており「大吟醸は甘くて苦手と敬遠している左党にも勧めたい」。

 伯楽星と並ぶ新沢醸造店の二枚看板「あたごのまつ 純米吟醸ささら」(720ミリリットル1650円、1800ミリリットル2997円)は「友人と少人数の年越しパーティーで飲むなら」というテーマで選んでくれた。「バナナを思わせる香りと、くどくない甘さ。料理を引き立て、すいすい楽しく飲める」と話す。

目を引くラベル 飲んべえ好みも

(左から)田林、宮寒梅、水鳥記。店は創業82年、地酒の取り扱いは3代目の竜一さんが始めた=八重樫酒店

 利き酒師の資格を持つ八重樫酒店(仙台市宮城野区)店主の八重樫竜一さん(57)が「いま宮城で最も勢いのある蔵」と断言するのが寒梅酒造。季節限定の「宮寒梅純米大吟醸29福(ふくふく)」(720ミリリットル2200円、1800ミリリットル4290円)は赤地に雪だるまの紅白ラベルで「正月にぴったり。メロンなどの香り豊かで、女性も喜ぶすっきりとした味わい」と一押し。

 「酒飲みの酒」と挙げてくれたのは加美町に蔵を持つ田中酒造店の「田林 特別純米酒山廃仕込辛口」(720ミリリットル1320円、1800ミリリットル2750円)。「米の味がどっしり乗った飲んべえ好みの一本。熱かんもうまい」という。

 気仙沼市の角星が造る「水鳥記 特別純米酒直汲(く)み生原酒」(720ミリリットル1650円、1800ミリリットル3080円)はボトルに雪の結晶が印刷され、冬のイメージにはまる。「果実味にガスがほんのり効いて、さっぱりとキレがある」と八重樫さん。港町気仙沼の酒らしく、正月の魚料理と相性が良いそうだ。

宮城の美酒は他にも ぜひ相談を

 最近はコロナの流行が落ち着きを見せ、地酒の需要が増えている。「ようやくコロナ前の雰囲気が戻ってきた」と藤崎の小野寺さんは喜ぶ。例年は720ミリリットル1500円前後の商品が人気だったが、自宅でぜいたくなものをという意識からか、今年は純米吟醸を中心に2000~2500円ほどの商品が売れている。

 人気銘柄は年末にかけて売り切れる場合も多い。阿部酒店の阿部さんは「今回挙げた酒が売り切れても、おいしい酒はたくさんある」と笑う。「価格や銘柄、味わいなど選び方はさまざま。どうぞ店に来て聞いてけさいん」と呼び掛ける。

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