ベガルタ、変革の好機 J1再昇格へ、財前宣之氏が提言

 ベガルタ仙台は今季、戦いの舞台をJ2に移す。無念の降格に終わった昨季を糧とし、J1再昇格を果たすためには何が必要なのか。仙台の中心選手として活躍し、2002年のJ1初昇格に貢献した財前宣之氏(45)の考えを、07年から仙台のホーム戦でリポーターを務めるフリーアナウンサーの村林いづみさんに聞いてもらった。

京都とのJ2最終戦で後半終了間際、仙台をJ1初昇格に導く決勝のゴールを決めた財前氏(右)=01年11月18日、西京極陸上競技場

代表レベルの選手必要

 村林 今季は原崎政人監督が指揮を執る。昨季のJ2降格決定後にヘッドコーチから昇格し、最終節鹿島戦の前に続投が決まった。期待することは。

 財前 ヘッドコーチとしての経験があり、前監督の手倉森誠氏の思いも知っているので土台はある。選手の戸惑いもないはず。あとは原崎さん独自の色をプラスしてほしい。大事なのはぶれないこと。その上で結果を残し、早い時期に「このサッカーをすれば勝てる」という意識を選手に植え付けることが大切だ。

 村林 今の仙台には核となるような存在の選手がいない。財前さんが現役時代に背負っていた背番号10は梁勇基選手(J1鳥栖)が19年に退団して以降、空き番になっているのが象徴的。どのように強化していくべきか。

 財前 チームの中心には、代表レベルの日本人選手が必要。外部から獲得するか、育成しないといけない。理想は遠藤航選手(シュツットガルト)。まだ20代と若く、キャプテンシーがある。そのような戦力を得るためには、他選手の倍以上の費用がかかってもかまわないと思う。五輪のオーバーエージ枠を選ぶような気持ちで見極めたい。

 村林 J2降格が決まり、新戦力の獲得は以前よりも難しくなった。クラブの財政状況も厳しい。育成を重視する場合は。

 財前 まずはクラブの方向性を定める必要がある。降格の要因でもあると思うが、下部組織とトップチームが同じ方向を向いていないように感じる。統一性がないから、下部組織出身の選手がまだまだ少ない。加えて、今は東北のいい選手を他のJ1クラブに獲得されてしまっている。

 地元の選手に「入団したい」と思わせる魅力をつくらないといけない。降格を機に、現状を見つめ直すべきだ。ここで変わらなければ、変われない。方向性を決めることは、外から選手を獲得する際にもプラスに働く。

厳しい道のり、連勝不可欠

 村林 J2の現状をどう見ているか。財前さんは自身のサッカースクールで指導する傍ら、動画配信サービスDAZN(ダゾーン)で解説を務めている。昨季は仙台に加え、秋田の試合も担当していた。

 財前 甘くないと思う。J1のチームは実力があり、タレントもそろっているので強烈な攻撃をする。その分、守備に穴ができるので、戦いやすさはあった。J2には守りを最優先するチームがある。秋田がいい例。点が取れないとプレーに焦りが生まれ、ミスにつながる。引き分けが増えたり、思わぬ形で決勝点を奪われて敗戦したりすることがあるかもしれない。

 村林 厳しい道のりかもしれないが、J1再昇格のために重要なことは。

 財前 連勝して勝ち点をためること。勝っている時にどれだけ勢いに乗れるかが鍵を握る。一方、悪い時はその流れを早く断ち切らないといけない。そのためには経験豊富なベテランが必要。僕が仙台でプレーしていた時の岩本輝雄さんや山田隆裕さんのように、チームが困った時に力を出せる選手の存在が欠かせない。

 村林 岩手がJ2に昇格し、今年は東北の4チームがJ2で対戦する楽しみもある。

 財前 東北ダービーは盛り上がるだろう。ただ、東北にJ1クラブがないのは寂しい。切磋琢磨(せっさたくま)する中でも、仙台が上に立ち、1年でJ1昇格を決めてほしい。

[ざいぜん・のぶゆき]1995年、V川崎(現東京V)に入団。欧州のクラブを経て99年に当時J2の仙台に加入。攻撃的MFとして活躍し2001年にはリーグ最終戦でJ1昇格を決める決勝ゴールを挙げた。仙台退団後、山形などでプレー。J1通算37試合で無得点、J2通算222試合で23得点。現在は仙台市でサッカースクールを運営している。45歳。北海道室蘭市出身。

[むらばやし・いづみ]フリーアナウンサー。04年からラジオでベガルタ仙台のトーク番組のパーソナリティーを担当。07年からJリーグ中継のリポーターとインタビュアーを務めている。宮城教育大卒。青森市出身。

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