学校の制服って必要? コロナで増えた体操着登校、必要性考える契機に
「新型コロナウイルスの感染対策で、制服を着たのは入学式と音楽会の2回だけ。制服は本当に必要?」。中学1年生の子どもを持つ新潟市西区の40代男性から、新潟日報(新潟市)の「もっとあなたに特別報道班(モア特)」に声が寄せられた。男性の子どもが通う中学校は、衛生面から洗濯をしやすい体操着での登校を指導しているという。男性は「制服は3年間しか着られない割に高額で汎用性が低く、時代にマッチしない風習」とつづった。モア特会員にアンケートを行い、ウイルス禍で気付かされた制服の存在意義を考えてみた。
◆感染対策優先
新潟市教育委員会がウイルス下での学校生活について定めたガイドラインは、換気で室温が低下することから、防寒目的の衣服は柔軟に対応するよう各校に求めている。市教委学校支援課は「服装に関しては各校それぞれの判断」という。
今回声を寄せた保護者の子どもが通う西区の中学校は、2020年11月から体操着で登校するよう指導を始め、昨年6月からは制服、体操着の選択制にした。県内での感染状況が落ち着いたことから、12月6日から制服登校に戻したという。
教頭は、地域住民からも「中学生らしく制服姿の方が見守りやすい」との指摘があったとし「場にふさわしい装いをするのも重要な学びの一つだが、感染対策を優先せざるを得なかった」と語った。
◆「自由な社会に」
アンケートは無料通信アプリLINE(ライン)で行い、県内外の256人から回答を得た。制服の必要性について自由記述で求めたところ、52%(133人)が「必要」と回答。「必要だが選択制にするべきだ」と答えた人が18%(46人)で、「不要」は23%(59人)、「どちらともいえない」は7%(18人)だった(円グラフ参照)。
高校生の子を持つ新潟市西区の50代男性は「格差社会となったこの頃では、服装でランク付けがされてしまう。子どもたちは平等であるべきだ」と、必要性を訴えた。感染対策で一時期体操着通学をしていたという新潟市北区の男子中学生は「制服がないとだらしない人が出てくると思う」との考えから必要とした。
また、制服は必要としながらも、性的マイノリティーの生徒に対応できるようにすることや、丈夫で廉価な制服にすることを求める声が多く寄せられた。
一方、高校教諭を務める新潟市西区の50代女性は「画一的な服装の押し付けは、子どもたちから自分で考える機会を奪い、何事においても考えずに体制に従う人間を育てることになる」と危惧し、不要とした。新潟市西区の男子高校生も不要との考えで「制服の改革を皮切りにもっと自由な社会になってほしい」と望んだ。
◆良さも欠点も
制服の良さについては複数回答で「洋服を選ぶ手間がいらない」を挙げる人が201人と最も多く、「私服が少なく済み経済的」(134人)、「貧富の差が分かりにくい」(128人)と続いた。
欠点については「成長期ですぐにサイズが合わなくなり無駄になる」と「高額で経済的に負担」が140人で、「頻繁に洗えず衛生面で不安」(119人)、「性的マイノリティーら多様性に対応しにくい」(94人)となった。
(新潟日報提供)
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