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憧れの選手の引退試合、最前席譲ってくれた人にお礼したい 福島の女性、福岡で人捜し

 「ペイペイドームのお礼がしたい。探してもらえないでしょうか」。福島県内の女性(22)から、福岡市の西日本新聞「あなたの特命取材班」に手紙が届いた。福岡ソフトバンクホークスのホーム最終戦となった10月21日、知らない男性がたまたま席を譲ってくれたおかげで、憧れの長谷川勇也選手(山形・酒田南高―専大出)の引退試合を最前席のコカ・コーラシート(フィールド席)で観戦できたからだ。男性の連絡先を聞き忘れてしまったため、後悔しているという。

長谷川選手の引退試合のため女性が作った応援ボード(女性提供)

11歳からの大ファン

 11歳の時、お立ち台での勇姿をテレビで見てからずっと長谷川選手の大ファン。ドームで応援するのが長年の夢だった。今は保育士を目指す専門学校生。引退発表を受けて居ても立ってもいられず、福岡行きを決めた。

 試合前、「ハセさん ありがとう」と思いを込めて手作りしてきた大きな応援ボードを手に、一塁側スタンド席に座った。ボードが目に入ったのだろうか、眼鏡を掛けた男性から「友だちが来られなくなり、もったいないのでコカ・コーラシートに移りませんか」と声を掛けられた。

 男性の厚意をありがたく受け入れてコカ・コーラシートに入った。最初は丁寧に練習の様子や選手のことを教えてもらった。試合が始まると、女性は観戦に、男性は大きな一眼レフカメラでの撮影に、それぞれ夢中になっていた。

コカ・コーラシートから撮影した長谷川勇也選手の応援スクリーン(女性提供)

「魂のヘッドスライディング」

 長谷川選手が最終打席で「魂のヘッドスライディング」を披露するなど、大いに盛り上がった試合。終了後、長谷川選手はグラウンドを1周して声援に応え、自分の前でも足を止めてくれた。最高の瞬間を味わうことができた。

 既に午後10時を過ぎていた。慣れない土地で早くホテルに戻らないといけないと焦り、お礼をする連絡先を聞き忘れてしまった。「一生の宝物をありがとうございますと伝えたいんです」。その思いが日々、強くなっているという。

ツイートきっかけに名乗り

 「多くの人がツイートしてくれ、探してくれることをありがたく感じた」。西日本新聞が13日に記事を配信した後、福岡市の山中隆次さん(47)から「自分です」と申し出があった。

 山中さんには、魂のヘッドスライディングを捉えた自慢の写真があり、「女性には画像を送ってあげたい」と話した。

 取材班は山中さんの許可をもらい、女性に連絡先を伝えた。「改めてお礼できてうれしい」と女性。「またお金をため、大好きになった福岡にホークスを応援しに行きたいです」と張り切っている。
(西日本新聞提供)

コカ・コーラシートから山中さんが撮影した長谷川選手のヘッドスライディング

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