(173)降る雪に力抜きたる汀かな/山田 みづえ(1926~2013年)
「力抜きたる」がすごい。「抜山蓋世(ばつざんがいせい)」という言葉を思い出すが、この場合、冬の水自体に静かで枯れた雰囲気を先入観で見て取ってしまいそうなところを、雪によって力を抜いたとみる点に注目。一切の音を消し、銀世界に沈めてゆく雪の魔力も感じさせる一句である。作者は仙台市生まれ。「河北俳壇」の…
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