河北春秋(1/25):「監督は二兎(にと)を追わなければならな…

 「監督は二兎(にと)を追わなければならない」。故星野仙一さんが東北楽天監督だったときの語録の一つ。2匹のウサギは「目の前の勝利」と「選手を育てること」。若手が成長してきたことを指して語った▼「二兎を追う」は「二兎を追う者は一兎をも得ず」の一部。同時に二つの事をしようとすれば両方とも成功しないという意味だが、冒頭の言葉だけを使うと決意がにじむような語感を帯びる▼「核兵器のない世界」と「抑止力強化」。岸田文雄首相がこの二兎を追っているようだ。核軍縮に向けて年内にも「国際賢人会議」の初会合を広島で開く。米国との共同声明では世界の指導者に広島、長崎への訪問を呼び掛けた。一方で日本は「核の傘」に依存する。被爆者団体などが求める核拡散防止条約の締約国会議へのオブザーバー参加には消極的なまま。道は遠く険しい▼星野監督が二兎を追って一体感を醸成した翌年、チームは日本一を成し遂げた。二兎を捉えたのだ。そのときの語録。「こんなに頭を使った日本シリーズはなかった」▼バイデン米大統領が今春、初来日するという。せっかくの好機。首相を中心に官邸のあらゆる頭脳を駆使して大統領を広島、長崎に招いてはどうか。「聞く力」だけでなく広島選出の政治家として「説く力」を。(2022・1・25)

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