(178)雪の海底紅花積り蟹(かに)となるや/金子 兜太(1919~2018年)
山形に旅したのだろう。宿の料理にでたのはベニズワイガニか。その美しい紅色に、これは海の底に積もった紅花の化身ではないかと感じる。雪の白との対比が鮮やかで華麗な句だ。ところで「蟹」は夏の季語となってい…
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- ・(176)息吸うて肺の内まで霜降りぬ/吉田 千嘉子(1952年~)
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- ・(173)降る雪に力抜きたる汀かな/山田 みづえ(1926~2013年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。