河北春秋(1/27):漫画家の故石ノ森章太郎さん(登米市出身)…

 漫画家の故石ノ森章太郎さん(登米市出身)は作詞家としての顔も持つ。手掛けたのは自身原作の特撮やアニメの主題歌70余り。勇壮かつ詩情あふれる▼『サイボーグ009』の『誰(た)がために』は人気曲の一つ。「涙で渡る血の大河 夢みて走る死の荒野 サイボーグ戦士 誰がために戦う」。9人の宿命と悲愴(ひそう)が暗影を帯びた絵画のように浮かぶ▼クラシック音楽への造詣が深かったという。ベートーベンの伝記に感動し石森小の音楽室にあった肖像画に見入った。佐沼高卒業後に移り住んだ東京・トキワ荘の自室にはベートーベンのデス・マスク。原稿料はレコードや本につぎ込んだ▼「眩(まぶ)しい程の光があり、その影もあって、トキワ荘の数年はワタシにとっては青春そのものであった。青春とは、苦悩すらも人生の豊饒(ほうじょう)さに変えてしまう一瞬、なのである」。亡くなる前年の『石ノ森萬画館』に記した。望郷の思いと青春の残り香。歌詞や著作を改めて読むと、そんな思いがにじんでいるような気がしてならない▼「我らをねらう黒い影 世界の平和を守るため」。輝くマシンが疾走するあの歌も石ノ森さん作詞。来年公開の『シン・仮面ライダー』で復活するようだ。生誕84年。多くのキャラクターとともに歌も生きる。あすが25回忌に当たる。(2022・1・27)

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