おばあちゃん犬の最期、目には光るものが…

最期が近づき、目が潤んだナナ

 「ナナが泣いている」。岩手県一関市川崎町の主婦後藤美由紀さん(54)は一瞬、信じられなかった。愛犬の目が潤み、一筋の光るものが流れた。17歳のおばあちゃんで日に日に弱っていた。

 心配して連絡をくれた長女の声を聞かせようと、美由紀さんはナナに電話を向けた。するともう聴覚も、視覚もないはずのナナは懸命に耳を立てた。また1滴がこぼれ落ちた。18日夜の出来事だった。

 2004年のクリスマス、生後間もない柴犬ナナが家族の一員に。夫の泰彦さん(61)が住職を務める常堅寺の番犬となった。2年前に足腰が弱まると、美由紀さんが人間同様の介護を続けた。ステイホームのご時世で、関係はより密になった。食事をして、排せつをして一日を終えるたびに喜び合った。「今日も生きたね」「ワン」

 電話から数時間後、美由紀さんに左前足を握られて、ナナは旅立った。葬儀まで執り行った夫妻はなぜか喪失感がない。「最後まで一緒に生き抜いたし、涙で感謝してもらえたから」
(一関支局・金野正之)

最期に「感謝の涙」

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