<とびらを開く>NPO法人森の美術館 自給の価値学び発信

青い外装が目を引く森の美術館。春に向け内装の準備が進められている=2021年12月末

 宮城県川崎町の廃校になった木造校舎を拠点とし、昨年8月に活動を開始した「NPO法人森の美術館」。美術館の活動は大地を耕し、種をまくところから始めて、食料や繊維、染料などを自給して持続可能な暮らしについて考えること。理事長の木ノ瀬千晶さんを同町に訪ねました。

 染色家の木ノ瀬さんは、さまざまな活動を行う仲間と地域住民が出会い、共に活動できる場所を求めていて、巡り合ったのが川崎町の旧川崎小腹帯分校の木造校舎でした。校舎は廃校後も住民の芸術活動の拠点となっていました。

 建物の修繕作業は美術館の会員が取り組みました。自然素材にこだわったしっくいの壁、柿渋塗り、床の張り替え、暖房用のストーブ作りなどです。改装を終えた一部屋は染織アトリエとして使用。「衣服の自給」を体験できるよう種から育てた綿の糸紡ぎ、草木染や正藍染め、布を織るワークショップを実施します。

 木ノ瀬さんは「自分が身に着ける衣服を自らの手で作る一連の工程を体験し、そこから生まれる価値観を分かち合いたい」と話します。繊維を種から育て衣服にするには、膨大な時間と労力を要し、多くの人の手が必要です。「その体験から、身の回りの暮らしや現代社会のさまざまな事柄を考えるきっかけにしたい」

 館内には「紡ぐ・染める・織る」を体験する染織アトリエに加え、自然栽培やオーガニックの食材を使った身体と地球に優しいレストラン「MOGUMOGU(モグモグ)」、食品などの量り売り、フェアトレード商品や暮らしの道具を扱うショップ「SOW(ソウ)」を併設。ことし3月19日にオープン予定です。

 木ノ瀬さんは「環境再生の手法を学ぶ場や人と人とが集い交流する場をつくり、新たな文化の発信地としたい」と、活動に賛同し集まった仲間のポテンシャルに期待を寄せます。今後はコンサートやアート作品展示、映画上映などの企画運営も行っていく予定です。

 学びの場としての校舎の役割を継承しつつ再生した森の美術館。地元の人々と融合した暮らしを育む新しい試みに注目したいです。(シニアライター 葛西淳子)

◎参考情報
NPO法人森の美術館
連 絡 先   宮城県川崎町前川松葉森山1の197(旧川崎小腹帯分校)、電子メールはamof.2021kawasaki@gmail.com
フェイスブックは「NPO法人森の美術館」で検索。インスタグラムは「art_museum_of_forest」で検索
※賛助会員を1口3000円で募集しています

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