震災追悼式典、開催しない自治体も 「10年」境に分かれる対応

 東日本大震災で被災し、例年3月11日に追悼式典を続けてきた宮城県の沿岸13市町のうち、仙台、石巻、東松島の3市を除く10市町が今年は開催しないことが分かった。大半が献花台の設置にとどめ、来年以降も同様とする。一方、岩手、福島の両県では継続する自治体が大半で、発生10年を境に被災自治体の対応が分かれた。

2021年にあった宮城県東松島市の追悼式典

 河北新報社が1月下旬、式典を開いてきた被災3県沿岸自治体を取材した。岩手は7市町のうち6市町、福島は10市町のうち9市町が今年も例年通り実施し、残る大船渡市と福島県楢葉町は「検討中」と答えた。

 政府主催の追悼式が昨年で最後となり、宮城で式典を開催しない自治体も多くが10年の「節目」を過ぎたことや参列者の減少を理由に挙げる。

 気仙沼市は「追悼と防災のつどい」に改め、震災伝承と防災教育をテーマに専門家の講演やパネル討論を予定。これまで遺族代表の言葉を述べた全員の意向を確認し、変更に了承を得た。

 七ケ浜町が実施した遺族アンケートでは「毎年でなくてもいい」「3年や5年、10年置きで開催してほしい」との回答が目立ち、防災対策室は「今後の式典は節目での開催を検討する」。気仙沼市や山元町、南三陸町も発生15年、20年の機会で執り行う方針を示す。

 多賀城市は新型コロナウイルス感染拡大で追悼式を中止した2020年と同様、JR多賀城駅前に献花台を設ける。「屋外なので、子連れや遺族以外でも参列しやすい」といった市民の感想も参考にしたという。

開催自治体はオミクロン懸念

 一方、式典を続ける石巻市の斎藤正美市長は「最大被災地として追悼式は当然行う」と説明。東松島市の渥美巌市長は「市には震災を後世に語り継ぐ使命があり、復興が終わっていないというメッセージにもなる」と強調する。ただ両市も区切りを踏まえ、遺族代表の言葉を式次第から外す。

 懸念されるのが猛威を振るう新型コロナ「オミクロン株」の動向だ。郡和子仙台市長は「大切な日として開催の準備を進めるが、感染状況が収まることを期待したい」と注視する。

 岩手、福島両県の自治体も区切りやコロナ対策を意識し、式典の形式や規模を見直す。陸前高田市は「市の代表という負担が掛かる」(福祉課)として「遺族の言葉」をなくす。いわき市は感染防止で一般市民の参列を見送り、インターネット中継する。

3県主催はほぼ従来通り

 3県主催の追悼行事は、ほぼ従来通りの形式で行われる。沿岸自治体と式典を合同開催する岩手県は今年、大槌町で予定する。福島県は昨年に続き、式典への一般の参列は認めない。終了後の献花を受け付けるほか「オンライン献花サイト」の利用を呼び掛ける。

 県庁に献花台を設置する宮城県の村井嘉浩知事は「10年を節目にやめようという話もあったが、まだ少し早いと考えた」と説明。来年以降の追悼の在り方は「遺族らの気持ちをベースにタイミングや内容を判断するのが重要」と語った。

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