<手腕点検>大河原町・斎清志町長 子育て施策で安定図る 道の駅構想は封印

「おおがわら桜まつり」の実行委員会に出席し、4月開催の是非を議論する斎町長(右)=1月20日、大河原町の町商工会

 東日本大震災から10年がたった今年、地方自治の現場は新型コロナウイルス感染症との闘いに引き続き追われた。少子高齢化や人口減少、地域経済の疲弊も深刻化。難局のかじ取りを担う市町村長は地域の負託に応えているか。住民や関係者の声を交えて検証する。

 18歳以下に10万円相当を給付する政府の新型コロナウイルス経済対策が議題に上った昨年12月8日の大河原町議会12月会議。斎清志町長(68)は質問者の予想を超えた答弁で驚かせた。

 10万円のうち5万円はクーポン支給という政府の意向に従わず、全額現金給付を明言した。「迅速な対応を優先した」と説明する。

 クーポンへの不評が高まり、政府方針が迷走する中、県内自治体の首長では最初の表明。所得制限撤廃も先頭を切り、町議の間でも「他の自治体の呼び水になった」と評価する。

 現在4期目だが、3選を目指した2012年の町長選では、相手陣営から道の駅の是非を争点化され、苦杯を喫した。16年に返り咲いたが、道の駅は封印した。

 打って変わって3期目以降は子育て施策を重視する。10万円給付の全額現金も子育て世帯の要望に配慮した形で、町発注の大型公共施設整備は学校給食センター、町立桜保育所、大河原中体育館に限られる。

 「子育て施策の充実に反対する人はいない。落選を糧に道の駅のような町民を二分する政策は避け、安定を第一にするスタイルに変わった」と周囲は見る。

 元々自民系だが、20年の町長選では、かつて対立陣営を支援した非自民系の町議も取り込み、危なげなく勝利した。結果、議会との関係も安定している。

 町政運営にも追い風が吹く。21年4~12月のふるさと納税の寄付額はアイリスオーヤマの家電を返礼品として取り扱い、約22億1600万円に上った。2年前の19年度分(約370万円)から約600倍増えた。

 以前は野党的立場だった岡崎隆議長(53)は「ふるさと納税など成果を上げ、大きな失策は見られない」と評価。一方で、町教委が委託するNPO法人で発覚した不祥事では「説明が副町長と教育長ばかり。もっと前面に出て町民に説明してほしい」と注文する。

 地元の青年会議所(JC)の縁で、長年の盟友関係にある自民党県連幹事長の高橋伸二県議(55)=柴田選挙区=は別の面を付け加える。斎町長が1991年、政治活動の原点でもあるJC理事長時代にまとめた大河原と村田、柴田の3町合併構想の復活だ。

 「合併協議は2度破談しているものの、効率的な自治体運営に向けて合併は必要。機運が高まっていないのは事実だが、斎町長には『最後の大河原町長としてかつての思いを果たしてほしい』と言っている」と期待を込める。
(大河原支局・山口達也)

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