東日本大震災から10年がたった今年、地方自治の現場は新型コロナウイルス感染症との闘いに引き続き追われた。少子高齢化や人口減少、地域経済の疲弊も深刻化。難局のかじ取りを担う市町村長は地域の負託に応えているか。住民や関係者の声を交えて検証する。
国の動向を機敏に捉え、まちづくりの布石を打つ。
岩沼市の菊地啓夫市長(68)が市議会6月定例会で、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を宣言したのは、菊地市政の真骨頂と言っていい。
「国が手を打とうとしているところに受け皿を用意していくのが基本だ」。宣言は、菅義偉首相が昨年10月、50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を表明したのが伏線にあった。
市議会最大会派「自民党・政策フォーラム」の佐藤淳一会長(48)は「大きな事業をやるには国の政策に乗っかり、お金を持ってこないとどうしようもない」と強調。市長の手腕について「着実に政策を進める実務派だ」と信頼を寄せる。
市職員出身の菊地氏は副市長などを経て、14、18年の市長選でいずれも無投票当選し、現在2期目。市民からは「安全な道を歩いている印象。可もなく不可もない」(70代団体役員男性)「『何となく住みやすいまちづくり』を続け、大きな変化がない」(60代会社役員男性)と手堅さを認めながらも、物足りなさを指摘する声が上がる。
菊地氏は就任以来、東日本大震災の復興計画遂行を最大の課題として取り組んできた。今年3月で震災発生から丸10年が過ぎ「ほぼ達成できた」として、「復興最優先から地方創生に軸足を移す」と表明した。
一方で「(行政が)遠ざかっている感じがしないでもない」と話すのは、玉浦西まちづくり住民協議会の森博会長(72)。市玉浦西地区は震災被災者らが暮らす集団移転先で、15年にまち開きがあった。「ハード面の復興は進んだが、心配事も増えている。市長に来てもらい、住民の声を聞いてほしい」と要望する。
「市民の立場で国や県に物を言う姿勢が不足している」と訴えるのは、共産党の渡辺ふさ子市議(69)。仙台空港24時間化や東北電力女川原発の広域避難計画などを巡る対応を挙げ「国や県に従うだけでなく、もっと市民の気持ちに寄り添ってほしい」と求める。
市はポスト復興期に入り、11月に市制施行50周年を控えるなど、大きな節目を迎えている。
前市長の井口経明氏(75)は菊地市政のキャッチフレーズ「復興から地方創生へ」を引き合いに出し「自分のカラーの出しどころだが、中身がよく分からない」と指摘。「岩沼版の地方創生をどんどん打ち出し、職員と一緒に具現化していったらいい」と提言する。
本格的な人口減少社会の到来が見込まれる中、持続可能なまちづくりに向け、どうリーダーシップを発揮していくのか。菊地市長の現任期は1年を切った。
(岩沼支局・小沢一成)
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