【閲覧注意】仙台は「G」がいない街、ってホント? 駆除業者に生態や習性を聞いた
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「ゴキブリがいない街・仙台」。地元出身の人気お笑いコンビ、サンドウィッチマンが3月にあった「仙台観光アンバサダー(大使)」就任記者会見で仙台の魅力の一つをこう紹介し、笑いを誘いました。社内で周囲に聞いてみると「見たことがない」という人が確かに多いようですが、実際のところどうなのでしょうか。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)
インターネットで「仙台 ゴキブリ」と検索すると、いくつかの駆除業者が表示される。このうち仙台市太白区の総合防虫管理「三和商事」に問い合わせると「普通にいますよ」。あっさりと答えが出た。
1963年創業の同社は宮城、山形両県で飲食店や食品加工場からの依頼を受け、ゴキブリを含めた害虫を防除している。防除とは駆除、侵入防止、発生源対策などを組み合わせて害虫を制御することだ。
同社研究室長の末永隆行さん(41)によると、宮城県内で主に確認されるのはクロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、チャバネゴキブリの3種。ワモンゴキブリ、キョウトゴキブリなども捕らえられたとの報告がある。
このうちクロゴキブリは体長3~4センチ。黒褐色で光沢がある。一般にゴキブリと言われて思い浮かべる姿形だ。サンドウィッチマンの伊達みきおさんも「クロゴキブリは(仙台に)まだいませんよね」「東京なんかいっぱいいるからね」と念頭に置いて話していた。
末永さんは「東北以南の暖かい地方に多く、県内で見かけることは少ないですが、いるにはいます」と申し訳なさそうに語る。
東北で遭遇する機会が最も多いのはヤマトゴキブリらしい。日本の在来種で、クロゴキブリより一回り小さい。光沢が少なく、メスは羽が短いなどの違いはあるが、一般人がぱっと見分けるのは難しい。ともに本州以南でみられるが、北海道でも散見されるという。
ヤマトゴキブリは屋内にすみ着くより、屋外から侵入するケースが多い。林や公園にいる時間が長く、活動が活発になる梅雨の時季は餌を、気温が下がる秋口には暖かさを求めて住宅などに入り込む。玄関や勝手口、窓サッシの1~2ミリの隙間を自由に行き来する。
すみ着くのはチャバネゴキブリだ。体長は1・5センチほどと小ぶりで、世界中に分布する。アフリカ原産と考えられており、寒さに弱い。日本では野外で越冬できないため、年中、飲食店やビルなど暖房設備の整った屋内にいる。「近年、住宅の高気密・高断熱化が進んで冬場の室温が保たれ、ゴキブリにとっても快適になっている」という。
厄介なのは繁殖力の強さ。1匹の雌は1回当たり30~40個、死ぬまでに5回ほど卵を生む。卵からふ化してわずか2カ月で成虫になる。世代交代が早いため、殺虫剤に耐性のある個体が次々に生まれている。
段ボールで国境や県境をまたいで「配達」されることが多いという。保温性があり、水分を吸収しやすい段ボールはゴキブリが好む環境だ。玄関前に荷物を置く「置き配」が便利さから普及しているが「ゴキブリの隠れ場所になる可能性がある」。卵が付いていることがあるため、引っ越しなどで使った段ボールは早めに処分し、荷物を入れたまま保管するのは避けたい。
ゴキブリが苦手とするのは乾燥。「食べ物がなくても数日間ほど生きるが、水がなくなるとあっという間に死んでしまう」。台所シンク回りにできるだけ水滴を残さず、水切りかごは小まめに掃除した方がいい。飲み終えた飲料缶などを流しに置きっ放しにするなど、もってのほかだ。
大事なのは「居心地悪い環境」
人間の生活が変われば、ゴキブリの生活も変わる。コロナ禍で休業を余儀なくされた飲食店では一時的にゴキブリがぱたりと見られなくなる現象があった。一方、リモートワークなどで家にいる時間が増えたためか、一般家庭から駆除の相談が増えたという。これも巣ごもり需要というのだろうか。
「1匹見つけたら100匹いる」のは本当か。末永さんは「チャバネゴキブリに当てはまるかもしれない。ふんとともに集合フェロモンを排出するため、数百匹、数千匹集まって生息していることがある」。クロゴキブリ、ヤマトゴキブリは比較的、単独で行動することが多いため、そうとも言い切れないという。
東北の人はゴキブリを見慣れてない分、1匹見つけて大騒ぎすることがある。慌てて薬局で駆除剤を買い込むのもいいが、食べ物の置き場、台所の掃除、生ごみの処理を見直すことがより重要だという。
末永さんは「ゴキブリの生態や習性を理解し、ゴキブリの居心地が悪い環境を整えること。一般家庭ならほとんどの場合、それで解決します」と断言する。これから暖かくなる季節。「ゴキブリが(ほとんど)いない街・仙台」を市民一丸となって推し進めたい。
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