経済対策、また現金給付 急場しのぎより抜本改革を 社説(4/27)

 コロナ禍が始まった2020年から政府は毎年、国民に現金を配ってきた。今回で3年連続、3度目となる。

 今度は物価高騰への対応を名目に策定した緊急経済対策に「5万円給付」を盛り込んだ。低所得世帯の子どもに迅速な支給を目指す。

 20年春の1度目は国民1人に一律10万円を支給し、21年秋は18歳以下にクーポンと合わせ、10万円相当を給付した。2度目は当初、年収960万円を上限としたが、自治体側の反発を受け、所得制限を事実上撤廃した。

 新型コロナウイルスの流行に伴い打撃を受けた家計を支えるのが趣旨だった。最初の給付はともかく、2度目は18歳以下とくくったため、「困窮者の救済」に「子育て世代の支援」の色合いが加わり、目的があいまいになった。その結果、衆院選に向け、有権者受けを狙った「ばらまき」の印象が強まった。

 国費を投じて弱者に救いの手を差し伸べる公助はタイムリーでなければならない。緊急の名の下、打ち出す施策は例外措置であるはずだ。

 政府はこの3年間、経済対策を策定するたびに現金のばらまきを必須としてきた。社会保障制度がセーフティーネットとして機能していないことを政府自らが認めているに等しい。

 臨時収入はありがたいだろうが、5万円がどれだけ家計を補い、助けになるだろうか疑問だ。財源を握る側の「上から目線」がちらつく。救いを求めている人たちと同じ目線で、窮状を直視する姿勢が欠けていまいか。

 低所得者支援は急場しのぎでかわせる課題ではない。制度を抜本的に見直すべきだ。

 今回の緊急対策はロシアのウクライナ侵攻による燃油価格の上昇を抑えるための補助金延長も柱だ。総額は6兆2000億円を見込んでいる。

 22年度当初予算に新型コロナ対応として計上した5兆円の予備費を「新型コロナおよび原油価格・物価高騰対策予備費」と表紙を替え、1兆5000億円を充てる方針だ。

 政府は取り崩した分の予備費を穴埋めするため、緊急対策を決定後に補正予算案を国会に提出する構えだ。

 予備費は内閣の判断で使途と支出時期を決めることが可能だ。補正予算と違い、国会の審議を通さないため監視の目が届きにくい弊害もある。

 政府はコロナ以外に使途を広げるために便法を講じた。予備費を使い勝手のいい財源と当て込んで流用する手法が定着すれば、財政規律は緩む一方だ。

 現金のばらまきは有権者を引き付けるもってこいの策と映るのだろう。2度目の給付は昨年秋の衆院選で、与野党がこぞって公約の目玉に掲げたのもそのためだ。

 2カ月後に参院選が控える。ご都合主義に流された旧態依然の悪手に、政治はいつまで頼るつもりだろうか。

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