地域の支え励みに明かり再び 震度6強地震で被災した老舗飲食店

 最大震度6強を観測した3月16日の地震で大きな被害を受けた宮城県角田市中心部。大型連休を迎え、飲食店の明かりが戻り始めた。休業を余儀なくされた店主らを支えたのは地域のつながりと応援の声。営業再開を果たした感謝の思いを料理に込める。

仮店舗での再開初日、心を込めてラーメンを作る菅野さん

 2日のランチタイム。「中華料理かんの」は仮店舗での再開初日から客足が絶えなかった。

 創業50年超。老朽化していたかつての店舗は、柱に亀裂が入るなどして営業不能になった。建て替えを決断するのに時間はかからなかった。

 店主の菅野真也さん(35)は「不安でメンタル的に大変だった」と振り返る。心の支えになったのは、コロナ下で地元飲食店を盛り上げようと有志で結成していた「かくだ絆プロジェクト」だ。メンバーは良き相談相手でアドバイザー。気持ちを切り替える力になった。

 間借りした空き店舗もプロジェクトを通じて紹介された。以前の食堂が閉めて年数が浅く、冷蔵庫やテーブルなどはそのまま使えた。徐々に再開への道筋が見えると、前向きになれた。

 「今が一番楽しい。いばらの道かもしれないが、これ以上落ちることもない」。建て替えがいつ終わるかは未定だが、店主の顔は晴れやかだ。

建て替えが決まった「中華料理かんの」の店舗

 約40年間、地域に親しまれてきた居酒屋「YOSAKU」は4月28日に再開した。1カ月以上ぶりとあって多くの予約客が詰めかけ、外壁工事の足場が組まれたままの店舗に酔客の声が響いた。

 店舗は地震で外壁が崩れたほか、一部が道路側にせり出すように傾いた。副代表の天野健太郎さん(45)は「新型コロナウイルス対策向けの個室にするなど、大がかりに直す機会になる」と前向きに捉える。

 常連客から早期再開を望む声を多くもらった。「先代からつながりがあった業者の方々に協力的に作業をしていただけた」と天野さん。取り急ぎ内装を整えて再開にこぎ着けた。

 「地震で立ち止まって考えたとき、町のつながりのありがたさを身に染みて感じた」。コンセプトの「楽しい時間と空間の提供」で、地域に恩返しを誓う。

YOSAKUの再開に駆け付け、乾杯する常連客

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