東京電力福島第1原発事故で被災した福島県内の事業者の再生を後押しする福島相双復興官民合同チームの水産業者支援プロジェクトが始動してから今月で1年になる。水産業の復興の前には根深い風評が立ちはだかるが、徐々に支援の成果が出始めている。取り組みの現状を追った。(福島総局・横山勲)
相馬市の水産加工会社、佐藤水産の佐藤智紀専務(39)は昨年6月、会社を訪ねてきた支援チームと初めて膝を突き合わせた。
東日本大震災の津波による工場の浸水に原発事故、稼ぎ頭だったコウナゴの不漁、新型コロナウイルス下の飲食店休業。会社は苦境の真っただ中にあった。
佐藤専務は「今後を見据えて販路を開拓したい」と担当者に打ち明けた。主力商品は地元産のタコとノリの加工品。量販店などで継続的に扱ってもらえれば、活路を見いだせる。
支援チームから紹介されたのは、兵庫県のスーパーだった。条件が合えば卸売市場を介さない直接取引が見込めそうだった。昨年10月の商談で、担当バイヤーは佐藤水産のゆで加工のタコに強い関心を示した。
福島は古くから有数のタコの産地だ。2010年の漁獲量は全国3位の2686トン。原発事故に伴う試験操業が始まった12年は94トンだったが、20年には786トンまで盛り返した。
試験販売を経て商談から2カ月後の昨年暮れ、本格出荷が決まった。魚介コーナーの一角を佐藤水産のタコが陣取った。解凍後も鮮度を損なわない加工品質の高さを評価された。原発事故の風評被害も心配したほどではなかった。
支援チームは昨年6月以降、県内の水産業者を1軒1軒訪ね歩き、現状や課題の聞き取りを続けてきた。今年3月末までに県内119社のうち94社から支援要請を受けた。佐藤水産もそのうちの1社だった。
「待ちの姿勢ではなく、足で稼ぐことで本当に必要な支援につながる」と支援チームの松本英之副長(46)は説明する。行政支援にありがちな申請主義とは一線を画す地道な活動は副次的な効果も生んでいる。
昨年12月下旬、相馬市の佐藤水産の事務所に、いわき市のタコ加工技術が強みの「カネセン水産」の代表が赴いた。通常は競合関係の両社だが、支援チームが思い切って引き合わせた。
カネセン水産は看板商品の「梅酢タコ」とは別商品の開発を、佐藤水産はタコに続き、ノリ加工品の販売増を模索していた。支援チームの担当者は、両社に「生のり入り梅酢タコ」の共同開発を提案した。
チーム内で各地の事業者の特長を横断的に把握したことで生まれた発想だった。試作すると、磯の香りと梅酢がさっぱりとした味わいを醸した。商品は3月下旬に完成。今後オンライン販売を展開する。
佐藤水産の佐藤専務は、今回の連携を意義深く感じている。「いつまでも支援があるわけではなく、ゆくゆくは自ら提案してビジネスにする力が要る。横のつながりは地域の総合力を引き出す武器になるし、必ず今後に生きる」と話す。
[福島相双復興官民合同チーム]2015年8月に発足し、国や福島県と、東京電力など民間企業からの出向者ら計約230人で構成。公益社団法人福島相双復興推進機構(福島市)が母体。水産業者支援のプロジェクトは、21年4月に政府が決定した東電福島第1原発の処理水海洋放出に伴う風評被害対策の基本方針に、福島県内15市町村の水産加工・仲買業者らを支援する内容が盛り込まれことを受けて設置された。
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