ロシア軍のウクライナ侵攻の現地映像が報道で流れ、子どもたちが過度に不安を感じる可能性が高まっている。交流サイト(SNS)などを通じて遺体などの映像を目にするケースも考えられる。大人は子どもとどう向き合えばいいのか。東日本大震災の被災者支援拠点「みやぎ心のケアセンター」(仙台市)のセンター長で、災害精神医学と児童精神医学が専門の福地成氏に聞いた。
(聞き手は生活文化部・安達孝太郎)
―戦争の映像は子どもにどんな影響を及ぼすか。
「精神科の診察や被災地での支援活動で出会う子どもたちから、『僕より大変な子どもたちがいるんだよね』とか『人は死んだらどうなるの』という言葉を聞くことが増えた。ウクライナ情勢やコロナ禍などが影響している可能性がある」
―悲惨な映像を見た子どもはどんな感情を抱くのか。
「震災やコロナ禍に直面した時の反応と同じように考えていい。思春期前だと、えたいの知れないものに直面し、自分たちにも同じことが起こるかもしれないという不安を感じやすい。思春期以降になると、映像の意味が分かるようになり、嫌悪感や怒りなど具体的な感情になる」
「思春期前の子どもは、SNSの仕組みを理解していないことも多い。特にスマホなどをずっと持ちっ放しの子どもは注意が必要だ。誰にも相談せず、何が正しい情報なのか分からなくなるような状況だと影響は大きくなりやすい」
―ウクライナ、ロシア両国の個人が悲惨な映像を発信している。偶然、そうした情報に触れると心のダメージは大きくなるのか。
「可能性は十分にある。虐待やいじめ、震災など、絶望的な不安や生命の危機を感じるようなトラウマ(心的外傷)を経験した人は、より影響を受けやすいと言われている。フラッシュバックに近い状態が起きて、トラウマの影響がぶり返すことがある」
―大人は子どもとどう向き合えばいいか。
「子どもがどのようなことを知っていて、どう感じているのかをじっくり聞いてほしい。単刀直入に『いろいろな情報があると思うけれど、どのように考えているの』という感じで話しかければいい。素っ気ない答えが返ってくることもあるけれど、『じゃあ、友だちはどう思っているのかな』という感じで話してみたらいいと思う」
「子どもが誤った情報を話すこともあると思うが、ひとまず最後まで聞くことが大切。一つ一つ修正すると、受け止めてもらえていないと感じてしまうことがある。きちんと答える自信がないからといって、話題をそらしてしまうのは良くない。その話はタブーなのだと思ってしまう。分からないことを聞かれたときは誠実に分からないと答え、一緒に調べてもいい」
―大人は、どんなメッセージを伝えればいいか。
「状況を良くするために頑張っている人たちがたくさんいることや、日本はいろいろな支援をしていることなど前向きな情報もセットで伝えるといい。子どもが何か行動をしたいという希望があれば、一緒に行動してほしい。寄付などでもいい。何かに貢献することは、メンタルヘルスに良い影響をもたらす」
[ふくち・なる]1975年、東京都生まれ。東北大大学院医学系研究科修了。東北福祉大せんだんホスピタル児童精神科勤務、「みやぎ心のケアセンター」副センター長などを経て2021年4月から現職。東北医科薬科大医学部の病院准教授を務める。
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