第2のマウンドは子ども向け運動教室 元東北楽天投手の土屋さん

 手足が長く、浅黒い肌にぱっちりした目。格闘ゲーム、ストリートファイターのキャラクター「ダルシム」が愛称だった右腕を、東北楽天のファンは覚えているだろうか。プロ野球元東北楽天投手の土屋朋弘さん(36)が、仙台市青葉区北根で子ども向けの運動教室を始めた。2020年限りで楽天野球団を退団。「幼い頃に体の動かし方を覚えて、スポーツを好きになってほしい」と新型コロナウイルス禍の中、人生の新たなマウンドに挑んでいる。

両手両足の付け根を上手に使ってコーンを回るトレーニング。「いいよ、その調子」と子どもに声をかける土屋さん=4月9日、仙台市青葉区北根

ドイツ発祥の訓練法

 柔らかい人工芝が敷かれた室内を、子どもたちが素足で駆け回る。「土屋教室」は2021年10月にオープンした。両手両足を使って前に進む「クマ歩き」は股関節や母指球を使う訓練。ボールを持ってタッチする鬼ごっこは、反応や空間認知のトレーニングになる。

 教えるのはドイツ発祥の「コーディネーショントレーニング」。運動神経(体育)は反射やリズムなど七つの能力で形成され、12~14歳ごろまでに99%がつながるという考え方に基づく訓練法だ。遊びの要素を取り入れ、判断力や思考力(知育)と礼儀や思いやりの心(徳育)などをはぐくむ「三育」を実践する。

いつか子どものために

 土屋さんは2009年のドラフト5巡目で東北楽天入り。主に中継ぎ投手として10年から13年までプレー、20年までは打撃投手を務めた。一大決心して運動教室を始めたきっかけは、入団1年目の10年までさかのぼる。当時のトレーナー、秋田佳紀さんが東南アジアで野球の普及に力を注ぐ姿に感銘を受けた。いつか子どものために貢献したい、という思いが芽生えた。

 球団からは新型コロナ下の開業を心配されて慰留されたが、「人生を懸けて挑戦するなら、心身が充実している今だ」と踏み切った。東北楽天のコンディショニングコーチ星洋介さん(42)は「選手に寄り添うのがイーグルスのトレーナーの基本姿勢。同じように、子どもを第一に考えて経験を伝えてほしい」と話し、同じトレーナーとなった僚友にエールを送る。

ボールをお手玉しながら、足元のリングをたどってジャンプ。リズム感や上半身と下半身の連動などが鍛えられる=4月9日、仙台市青葉区北根

楽しい遊び場つくる

 教室では野球も教えるが、メインにはしなかった。土屋さんも2児の父親。テレビゲームや動画視聴による、子どもの姿勢悪化や肥満増加の解消に取り組みたかったからだ。「昔は木登りや外遊びで自然と鍛えられた。今の子どもはそういう経験が少ない。神経が完全につながる前に鍛えればぐんぐん伸びる」と説く。

 体験無料で、年齢は5歳以上から。子どもがトレーニングに飽きて遊び始めても心配はいらない。「楽しいと感じることが何より大事。気軽に来てほしい」と土屋さん。教室のモットーは自由で楽しい遊び場だ。

「おはよう。元気だった?」。教室の前で受講生を迎える土屋さん=4月9日、仙台市青葉区北根

[土屋教室]仙台市青葉区北根3―1―27。コーディネーショントレーニングをする5~12歳向けのキッズ教室のほか、中高生向けのピッチング教室と成人を対象にしたパーソナルトレーニングがある。小学生までを対象にしたキッズ野球教室の会場は宮城野区岡田新浜浦通西。出前教室も受け付けている。日時や料金など問い合わせは下記サイトから。

「土屋教室」のサイト
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