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楽天生命パークのベンチ、変わりました?

 <読者から>
 プロ野球東北楽天の本拠地、楽天生命パーク宮城(仙台市宮城野区)のベンチが今季から新しくなったのでは? 詳しく教えてください。

ゲーミングチェアが導入されました

楽天生命パークのベンチに採用された「エーケーレーシング」の椅子。中央は島内選手=20日

 よく見ていらっしゃいますね。確かに一塁側と三塁側のダッグアウトの椅子計80席が更新されました。

 椅子が一新されたのは2007年以来15年ぶり。チームカラーのクリムゾンレッドを基調とし、アクセントとしてゴールデンイエローが配色されています。

 中国・AKRacing(エーケーレーシング)製のシートです。長時間ゲームをしても疲れにくいように設計される「ゲーミングチェア」の世界的なブランドです。コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」人気の高まりに伴い、オフィスや子どもの学習用途でも普及が進んでいます。

かつては緑の「ベンチ」 電気座布団で冷たさしのぐ

スタジアム見学に訪れた中学生ら。球団創設当初は緑色の樹脂製シートだった=2005年5月13日、フルキャストスタジアム宮城(当時)
試合中のベンチ。中央は初代主将の礒部公一外野手=2005年5月30日、フルキャストスタジアム宮城

 05年の球団創設当初は緑色の樹脂製シートで、プロ野球の本拠地らしからぬ雰囲気が残っていました。足元に暖房が設置されていましたが、春先などは冷たさがじかに伝わるため、電気座布団を敷いてしのいでいたそうです。

07年に「レカロ」導入 野球場として世界初

レカロ製のシートの座り心地を確かめる野村元監督=2007年3月22日、フルキャストスタジアム宮城

 07年開幕前の球場改修で、ドイツの自動車用シートメーカー「レカロ」の本革シートが導入されました。フェラーリやポルシェといった高級乗用車に使われているシートです。底部と背部にヒーターを内蔵し、背もたれは高くなり、快適さが一気に向上しました。

 当時のスポーツ界では、スペインの世界的なサッカーチーム、レアル・マドリードの本拠地競技場「サンティアゴ・ベルナベウ」のベンチに採用されたのが唯一。野球場では初めてという触れ込みでした。

 部分的な補修はしていましたが、設置から10年以上がたち、クッション性の低下や色あせといった経年劣化が見られるようになったため、楽天野球団は総入れ替えを検討していました。

ゲーミングチェアは神宮球場も導入

高さ、幅が一回り大きくなった「エーケーレーシング」の椅子。右は山崎選手=20日

 他方、AKRacingの国内代理店テックウインド(東京)はプロ野球との提携を積極的に進めています。昨季はヤクルトの本拠地・神宮球場の一、三塁側ダッグアウトに計30席を配備。巨人や西武の監督用椅子、ロッテの記者会見用椅子も納入しています。

 同社担当者は「人間工学に基づいた快適な座り心地で、選手の疲労軽減につながります。メジャースポーツであるプロ野球との提携で、ブランドや商品の認知度が上がることを期待します」と狙いを説明します。

 同社は屋外球場の楽天生命パーク宮城に納入するに当たり、耐久や防水に優れた合成皮革を専用に開発したそうです。球団側からの強い要望を受け、ヒーター内蔵の商品を初めて手がけたといいます。

 高さ、幅は一回り大きくなり、リクライニングも自在で、選手からの評判は上々のようです。楽天野球団営業第1部の長谷川卓也さんは「長く座っても体の負担が少ない身体的なメリットに加え、長い時間を過ごす空間が新しくなれば、気持ちの面でもプラスの影響があると思います」と効用を語ります。

 昨季、AKRacingを導入したヤクルトは前年の最下位からリーグ優勝、日本一へと躍進しました。東北楽天も縁起の良さにあやかりたいところです。

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