亡き飼い主を訪ねて3キロ…「忠猫」の大冒険 転居後失踪、旧宅で発見

妻幸子さんの遺影を前に、カラに餌を与える保科さん

 飼い主の引っ越しで知らない土地に来た猫がある夜、失踪した。宮城県柴田町のパート従業員保科達男さん(78)の「カラ」(雄、推定5歳)。「もう戻ってこないかも」と胸が痛んだが、翌日、自宅から3キロ離れた旧宅に戻っているところを発見された。そこは、かわいがってくれた妻の故幸子さんとの思い出の場所だった。

「妻の形見。大切に育てていきたい」

 保科さんは4月29日、柴田町内の借家から現在のアパートに転居した。それ以来、ずっと落ち着かない状態だったというカラ。5月6日午後7時半ごろ、窓の網戸を開けて失踪したことに気付いた。

 翌朝、旧宅の隣人から「カラちゃん、うちに来てるわよ」と連絡があった。保科さんは無事だったうれしさと信じられない思いでいっぱいだった。迎えに行くと、カラは疲れ果てたのか、隣人宅ですやすやと眠っていた。

 保科さんによると、引っ越しの時はカラをケージに収め、車のトランクに入れて移動したため経路は分からないはず。旧宅までは交通量が激しい道路が複数あり、単純な道でもない。県獣医師会の担当者によると、一般的な飼い猫の行動範囲はせいぜい半径50メートル程度という。

 「動物が持つ帰巣本能なのか。亡き妻と住んだ思い出の家に戻ろうと、分からない道を大冒険したんだな」と保科さんは思いをはせる。

 野良猫だったカラは3年前、けがをして弱っているところを幸子さんに保護された。他の飼い猫1匹と分け隔てなく世話する幸子さんに、カラも懐いていたが、幸子さんは心臓の病気を患い昨年12月、72歳で息を引き取った。

 「『忠犬ハチ公』ならぬ『忠猫カラ公』。妻の形見なので、もうどこにも行かないよう大切に育てていきたい」と保科さん。施錠をして愛猫を抱き締める。

旧宅に戻っていたカラ
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