(293)生くるとはえらべるひとつえごの花/仁科 淳(1971年~)

 反出生主義のある立場では、苦痛を最小限に抑えることが善とされ、そこから、人は生まれるだけで苦痛を負う可能性を持つのだから、子どもを産むべきではない、と主張される。出生前診断等での命の選別や、最近増えているという若者の自死も、問題としては通底している。そうした話に限らず、ライフステージでいくつもの選択肢に直面するのも生きること。楚々(そそ)としたえごの花の白さが、人生に対する感慨に重みを与えている。句集『妄想ミルフィーユ』より。(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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