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(289)陰(ほと)に生(な)る麦尊けれ青山河/佐藤 鬼房(1919~2002年)

 山間のくぼ地「陰」に実る麦の黄熟した景を描いているが、「陰」は赤子を産む女体を連想させる。『古事記』のスサノヲに殺されたオオゲツヒメの女陰から麦が化生した話を題材としている。しかし、それを知らなくとも十分神話的である。「尊けれ」は「陰」から生まれるものへの賛歌。農耕と神話の世界が十七音の中に融合し…

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 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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