仙台圏4病院再編 候補地「建設可能な時期考慮」名取市長が選定経緯報告

宮城県名取市
山田司郎名取市長

 宮城県が主導する仙台医療圏4病院再編構想を巡り、名取市は9日開会の市議会6月定例会で、新病院候補地として植松入生(いりゅう)地区の民有地約4・8ヘクタールを県に提案した経緯を報告した。山田司郎市長は「4月に県から土地の提案を求められ、建設可能な時期や交通利便性を踏まえて最優先の場所を選んだ」と語った。

 5月27日に市が県に提案した候補地は、仙台赤十字病院(仙台市太白区)と県立がんセンター(名取市)を統合して新設する新病院の移転を想定する。

 山田市長は、NTT東日本が所有する候補地を東日本大震災の仮設住宅団地に借用した経緯に触れ、「所有者からは市が活用することがあれば相談に応じるとの話はもらっている」と説明。本年度末をめどに正式決定した後、市が土地を取得し、新病院に原則無償で提供する方針。

 県が公表した津波浸水想定で候補地の一部が浸水域に入ることには「造成などは今後協議する。敷地に面した国道4号は北側が浸水しないので救急搬送などは機能できる」と述べた。

 一方、富谷市への移転が示された県立精神医療センター(名取市)は周辺に複数のグループホームも立地し「精神医療の仙南の要なのにないがしろにされている」との指摘も出た。山田市長は「関連施設の声に配慮してもらえるよう県に伝える」と答えた。

 市は総額3億5891万円を追加する本年度一般会計補正予算など11議案、報告5件を提出した。

「既成事実化許さぬ」労災病院を守る会が県に反対声明

遠藤課長(右)に声明文を手渡す「東北労災病院を守る会」のメンバー

 仙台医療圏4病院の再編構想で、名取、富谷両市が新病院の建設候補地を県に提案したことを受け、再編対象の東北労災病院(仙台市青葉区)の移転に反対する市民団体「東北労災病院を守る会」は9日、「既成事実を積み重ねることは許さない」として構想の撤回を求める声明を県に提出した。

 両市長は5月27日に村井嘉浩知事と会談し、候補地を示した。声明は「セレモニーを大々的に行った裏には4病院再編が『既に決まっていること』であるかのようにアピールし、反対世論を封じようとする意図が見え隠れする」と批判した。

 守る会のメンバーが県庁を訪れ、「地域や病院職員に不安が広がっている」として構想の撤回とともに、県と関係機関との協議内容などの情報公開を要請。名取市の候補地の一部が、県による最大級の津波浸水想定で浸水域に入ったことも疑問視した。

 応対した遠藤圭医療政策課長は、協議内容は明らかにできないとした上で「仙台医療圏の医療充実を目指して協議している」と説明。浸水域への懸念には「(データ調査分析事業を委託した)コンサルに加え、県庁内でもさまざまな視点から適地を検討していく」と述べた。

 県の構想では、仙台赤十字病院(太白区)と県立がんセンター(名取市)を統合して名取市、東北労災病院と県立精神医療センター(名取市)を合築して富谷市にそれぞれ新病院を建設する。

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