(296)朴散華即ち知れぬ行方かな/川端茅舎(1897~1941年)

 公園で聞こえたカップルの会話。「わあ、この花すごい! 散ったらきれいだろうね!」。私、「それは朴(ほお)の花。散らずに、木の上でいつの間にか干からびて消えるだけですよ」と言いそうになるのを、ぐっと抑えた。掲句、茅舎(ぼうしゃ)は病床にあって毎日朴の花を見ていたという。花はある日、視界から忽然(こつぜん)と見えなくなった。近く寄って確認もできない身の上から出たであろう「朴散華」の韻(ひび)きは、美しく、悲しい。『定本川端茅舎句集』より。
(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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