(297)夏草をはがし太古の遺跡掘る/大関靖博(1948年~)

 夏はさまざまな植物が勢いを増しますが、地に生い茂る夏草もその一つです。みしみしと地面を埋め尽くすように伸びる緑の葉。それを取り除いて遺跡を掘っています。「はがす」という言葉は面を捉えた表現です。発掘作業の最初にはびこる夏草をすっかり取り除いたのでしょう。そこだけぽっかりと黒い地面が見えています。遺跡は古代の生活を知ることができる過去のもの、一方で夏草は今を生きるものです。その対比が過去への思いを際立たせます。句集『大夢』より。
(及川真梨子)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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