同居の義母のがんが判明した時、娘は1歳だった。
岩手県に住む専業主婦の女性(45)は、介護と育児を同時に担うダブルケアを昨年まで3年間続けた。義母と子どもの世話や家事を義母の長男である夫は手伝わず、細切れの睡眠が心身を削っていった。
地元は家父長制の考えが根強い。介護サービスや子どもの一時預かりを利用しようとすると、義母に「嫁がいるのにみっともない」「手を抜くつもりか」としかられた。「長男の嫁ならやって当たり前」という周囲の空気がつらかった。
1977年生まれ。第2次ベビーブーム(1971~74年)の団塊ジュニア世代ほどではないが受験戦争が激しく、就職活動の頃はバブル崩壊に直面した。氷河期世代、ロストジェネレーション(失われた世代)とも呼ばれる一人だ。
大学卒業後、東京で営業職に就いた。やりがいはあったが、男性より賃金が低いなど性差別的な扱いも受けた。「就職できただけまし。上の世代の女性は、もっと大変だった」。理不尽はのみ込んだ。
5歳上の夫とは仕事で知り合い、30代で結婚した。ダブルケアで体を壊しつつ「逃げるものか」と意地で義母をみとった。「嫁の役割」を全うしたら悔しさがこみ上げた。「家族の介護は対価のない労働。私の時間と労働力が搾取された」
男は外で働き、女は家庭を守る。昭和後半を支配した価値観が、男女の生き方や家族像が多様化した現代にも深く根を下ろす。
「看護師で食っていけるのか」
福島県立医大看護学部の助教で看護師の鈴木学爾さん(46)は27歳で同学年の妻と結婚する際、親戚に先行きを心配された。大学の同級生90人中、男性は8人。就職した東京の大学病院でも、配属先の男性看護師は自分が初めてだった。
高校3年の時、父の入院先で同室の患者が亡くなり、その妻の一言が胸に響いた。「夫の死はつらいが、看護師さんのおかげで自分がやれることはやったと思えた」。患者と家族をケアする役目に魅力を感じ、看護師の道を選んだ。
妻は保健師で、子は中高生2人。家事や育児は妻と分担する。パパ友と集まった時、「晩ご飯の支度に間に合わない」と焦り驚かれた。子どもの授業参観で早退すると「奥さんは?」と同僚がけげんな顔をした。
自分たちの「当たり前」は世間と違うのかも-。そう考える一方、心に潜む「昭和のおやじ」が時々現れる。妻が多忙で家事分担が増えると「なんで俺が」と不満を抱くことがある。そもそも看護師を志した時でさえ「男として家族を養えるのか」と思った。
「自分たちは新旧の価値観に挟まれた世代」と感じる。特に男性は「強い父親像」の幻影が消えない。
価値観の揺らぎが現在取り組む研究の土台にある。「お父さんはお母さんをしっかり支えてね」。病児の父親を看護師が励ます。病院でよくある光景に「人に弱みを見せず、悩みを打ち明けられない父親は多い」と考えた。
父親たちにどう心を開いてもらい、支えるか。看護師の役割を探り、「呪縛」を解く力になりたいと考えている。
続く新型コロナウイルス禍、収束しないウクライナ情勢。倦(う)みと不安が社会を覆い、鬱屈(うっくつ)した空気が私たちを包む。参院選を前に民意の現在地を探る。
河北新報社は8~12日、「読者とともに 特別報道室」の無料通信アプリLINE(ライン)で友だち登録する読者に今回の連載内容に関連するアンケートへの協力を呼びかけ、311人から回答を得た。一般の世論調査とは異なる。
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