河北春秋(6/23):江戸時代後期の儒学者佐藤一斎の『言志晩録…

 江戸時代後期の儒学者佐藤一斎の『言志晩録』にこうある。「才有りて量無ければ、物を容(い)るる能(あた)わず。量有りて才無ければ、亦(また)事を済(な)さず。両者兼ぬることを得可(うべ)からずんば、寧(むし)ろ才を舎(す)てて量を取らん」▼明治大教授の斎藤孝さんが、近著『大人の教養33』で紹介していた。才能があっても度量がなければ、人を包容することはできない。度量があっても才能がなければ、事を成就できない。才と量を兼ね備えられないなら、私は才能を捨てて度量を取りたい-▼一斎の教えを座右の銘とする人は少なくない。2001年には当時の小泉純一郎首相が、官僚と確執続きの田中真紀子外相に『重職心得箇条』の一節を渡した。「えり好みせず、愛憎などの私心を捨てて人を用いよ」▼参院選が公示された。過去の世論調査をみると、有権者は政策、政党、人柄を中心に候補者を選ぶ。政治家が小粒になったとも言われている。数は国の針路を左右するが、見識と大局観が求められる「良識の府」では、器の大きさも見定めたい▼斎藤さんは一斎の『言志録』の言葉も収めている。「人の言は須(すべか)らく容れて之(これ)を択(えら)ぶべし。拒む可(べ)からず。又(また)惑う可からず」。選挙に当てはめてみる。候補者の主張、言葉をまずはよく聞き、惑わず、投票の先を選択しよう。(2022・6・23)

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