(306)かき氷黙つてみづになつてをり/辻 美奈子(1965年~)
知らないうちに溶けてしまったのでしょう。かき氷が水になっていたという情景です。「黙つて」という表現から、かき氷が擬人化されており、まるで意思を持って静かに溶けたように感じられます。すると平仮名で表さ…
関連リンク
- ・(305)かはほりや求むるものは定かならず/一力 五郎(1902~1947年)
- ・(304)水車ふむ悠久にして黄なる地/富澤赤黄男(1902~1962年)
- ・(303)五月雨の降り残してや光堂/松尾 芭蕉(1644~1694年)
- ・(302)蟻の世を跨いで去ってゆく子ども/千倉由穂(1991年~)
- ・(301)父の日の父に弟子てふ子沢山/能村 研三(1949年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。