(302)蟻の世を跨いで去ってゆく子ども/千倉由穂(1991年~)
夏の間、蟻(あり)は集団で列を作り、食料を運ぶ。女王蟻を頂点とした社会があるのだろうが、子どもはその社会を軽々と跨(また)いで去ってゆく。何げないスケッチの句だが、何か寓意(ぐうい)のようにも見えて…
関連リンク
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- ・(299)泣き出せば押し寄せて来る夏の山/永瀬 十悟(1953年~)
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。