’22参院選 消費税の行方 対立軸、埋没させぬ議論を 社説(6/27)

 与野党の主張は真っ向から対立しているのに、議論が深まる気配はない。経済政策で最大の争点に浮上した物価高への対応で、多くの有権者が身近な問題として関心を寄せる消費税率の問題だ。

 引き下げや廃止を掲げる野党に対し、与党はガソリンや食料品に対象を絞り、補助金などによる影響緩和策に軸足を置く。

 消費税率の見直しについて自民党は「考えない」(岸田文雄首相)と切り捨て、過去3度の増税が景気を冷え込ませたことの責任や分析は一切語ろうとしない。

 さらに野党も税収の減少分をどう補うかについては、明確な展望を示そうとしない。

 立憲民主党は「所得税の累進性強化」などを、共産党や社民党は「大企業の内部留保への時限的な課税」などをそれぞれ掲げているが、その規模は必ずしも明らかでない。

 消費税は少子高齢化に伴って急増する社会保障費の安定財源である半面、中低所得層ほど相対的に負担率が高くなる逆進性を持つ。

 与野党の議論がかみ合わないのは、こうした二面性をそれぞれが都合良く切り取ろうとしているからに見える。

 消費税は一般会計に入った後、社会保障特別会計の赤字の穴埋めに使われる。一般会計からの繰り入れは約36兆円に上る。このうち消費税収は約22兆円で、残りを国債などに頼っている。

 社会保障費は今後もいや応なく増え続ける。一時的にでも減税や廃止に踏み切れば、簡単には元に戻せない。結果的に年金・医療への将来不安がさらに高まりかねない。

 一方、物価高にあえぐ家計に注目すれば、消費税がもたらすダメージは深刻だ。家計消費の伸びは増税の度に下押しされ、8%から10%になった2019年からはついに減少に転じた。

 生活必需品の価格はウクライナ戦争以前から、じりじり上昇していた。総務省の調査(00~20年)では光熱・水道費は21・4%、食料品は14・5%も上昇。中低所得層の家計は、この時点で既に「値上げ許容度」など皆無だった。

 賃上げの道筋が不確かな中で、自民の家計への配慮の薄さは気にかかる。成長分野や重要性が高まる介護、保育など、対象を限った消費税の引き下げ・廃止は、なお議論の余地があるのではないか。

 与党は石油元売り会社に補助金を出してガソリン価格を人為的に下げる政策を続ける方針だが、円安による輸入価格の上昇を招く金融緩和の継続と整合性が取れない上に、脱炭素にも逆行する。とても持続可能とは思えない。

 年金・医療は赤字続きで将来が見えず、消費税はさらに上がるかもしれない。円安の加速で値上げはこれからが本番-。悲観的な見通しに身構える国民の姿をしっかり見定め、デフレ脱却につながる消費税論議を期待したい。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る