’22参院選 コロナ対策 検証不十分、弱者救済も後手 社説(6/24)

 参院選に際し、与野党は日本社会の根幹を揺るがした疫病との向き合い方をそれぞれ総括すべきだ。

 新型コロナウイルス禍にあえいだこの2年半を振り返り、政策に何が足りて足らなかったのかを徹底検証する。教訓を今後に生かす取り組みこそ、国難を乗り越えるために不可欠なはずだ。

 各党は参院選公約にコロナ対策の強化を掲げるが、混乱の要因を分析していないためか、具体性に乏しい。

 第一に政権側の姿勢が緩い。政府の新型コロナ対応を検証する有識者会議がまとめた報告書は、岸田文雄首相が口にしていた感染症対策の「司令塔組織」の整備を追認しただけで、第三者機関としての独立性を発揮していない。

 当を得ない政策判断が混乱の要因となることもある。流行初期に当時の安倍晋三首相が突如打ち出した小中高校の一斉休校は、過剰な対応が災いを招く「コロナ対策禍」の最たるものではなかったか。

 行動制限は社会経済活動の重しになり、人の心を内向きにさせる。しかし、政府検証は子どもの虐待や家庭内暴力(DV)、女性の自殺増加などコロナ下で顕在化した社会問題に踏み込んでいない。

 安倍元首相をはじめ、菅義偉前首相ら政権幹部から聞き取りを行わず、「アベノマスク」の配布や「Go To トラベル」事業といった賛否が割れた施策の妥当性にも触れていない。これでは名ばかりの検証だ。

 今回は司令塔機能や保健医療体制の強化に重点を置いたと言うが、社会経済活動との両立を考えることこそ政治の役目であり、切り離して論議するのは適切ではない。

 有識者の会合は計5回、報告書は21ページだった。他方、学識経験者による民間臨時調査会がコロナ禍初期の半年余を検証した「調査・報告書」は450ページを超えた。政権幹部から聞き取りを行い、当時の政府対応の課題に可能な限りアプローチしている。力の入れようが明らかに違う。

 岸田首相は有事の際に政策の企画立案や総合調整機能を担う「内閣感染症危機管理庁」の新設も打ち出した。野党の公約にも与党と同様に、米疾病対策センター(CDC)をモデルにした専門家組織の創設が並ぶ。

 では、司令塔をいつ設けるのか。検査・医療体制はどう改善されるのか。コロナ禍は収束していない。組織改編ならすぐ着手できるはずだ。

 議論を深めるべきは、行動制限と国民の犠牲についてだ。時短営業や外出自粛などの危機管理対策は国民の自主的な協力に依存した。

 一方で、公衆衛生を優先したために生じた経済的な犠牲と対等の補償は行われなかった。協力金が損失と見合わず倒産や失業が相次いだ。「コロナ弱者」救済は後手に回り、経済回復論議の陰で置き去りにされていないか。

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