参院選きょう公示 平和の尊さ希求する場に 社説(6/22)

 ロシアがウクライナに侵攻し、間もなく4カ月。破壊と殺りくが果てしなく続き、抜き差しならない泥沼状態を誰が望むだろうか。

 戦争は常に「終結」と「目的」が表裏一体だ。最初から有利な終わらせ方を描いて、戦闘は仕掛けられる。

 ウクライナを人道支援してきた日本もまた、和平に関与し、終わり方への責任から逃れられまい。終結の形とそのプロセスは防衛のほか、経済や食料を巡る日本の安全保障全てに関わるからだ。

 抑止力がほころび、核大国であるロシアが侵略をやめる気配は見られない。ウクライナの犠牲がリアルタイムで伝わる。

 きょう公示される参院選は、おのずとわが国と国民の安全をどう守るかを考える機会となろう。

 ロシアの武力行使は東欧の安全保障にくさびを打ち込んだだけにとどまらない。東アジアの安全保障、すなわち中国に対する抑止力に早速結び付け、その強化を声高に叫ぶ政治家が現れた。

 外交や国際法の役割より軍事力に着目し、国際情勢の均衡が崩れた要因を分析するのは妥当ではない。日本の立ち位置を危うくしてはならない。有事の時こそ、平和を希求し、その尊さを分かち合う道筋を模索すべきだ。

 参院選では、ウクライナ戦争の出口戦略をどう考えているのかを語ってほしい。

 犠牲を抑えるためとはいえ、非道を顧みないプーチン大統領の立場をおもんぱかるのはジレンマと葛藤が伴う。

 目前の犠牲回避と先行きのリスク排除。どちらも譲れない難しい判断が求められる。政治家の大局観が問われている時だ。

 参院選は岸田文雄首相にとって2度目の国政選挙だ。今回は新型コロナウイルス禍にロシアの侵攻や円安に起因した物価高が争点に加わった。

 コロナ対策は社会経済活動が再開し始めたため、世論調査は政府対応を評価する向きが強く出ている。訪日外国人客(インバウンド)の受け入れ人数が増えれば、景気を大きく上向かせるとの期待値が追い風になっている。

 一方、物価高対策はコロナとは逆に評価が低い。食品や身の回り品の価格上昇に国民は敏感だ。家計を直撃しているだけに、その不満は政権の逆風になる。

 岸田内閣の支持率は比較的安定しているが、経済の回復傾向が物価高で帳消しになる懸念が深まれば、潮目が変わる可能性がある。

 参院選を前に、岸田氏が看板政策に掲げた「新しい資本主義」の内容が明らかになった。柱は貯蓄から投資へ誘導する資産所得倍増プランだ。

 首相は当初、格差是正に力を入れ、「所得の再分配」を打ち出した。今回せり出させたのは成長戦略だ。岸田政権発足から8カ月。地方から「分配」はかすんで見えない。

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