’22参院選 被災地復興 伴走型支援の普及目指そう 社説(6/28)

 参院選を戦う各党にとって東日本大震災からの復興は重要論点の一つだ。東北の津波被災地では、ハード面のまちづくり事業がほぼ完了する自治体が増える一方、被災者の心のケアといったソフト対策への中長期支援、地域コミュニティーの再構築と多くの課題が道半ばにある。求められる対応は難しさを増しているとも言える。各党はしっかりと政策を競ってほしい。

 震災の教訓を生かして解決に導ける課題に目を向けたい。被災者一人一人の実情に応じて生活再建を目指す伴走型の支援活動だ。災害ケースマネジメントと称される。

 申請や相談を待つことなく被災者への戸別訪問を通してニーズや悩み、課題を把握。行政と弁護士や建築士、保健師ら専門家が連携し、生活再建を手助けする。震災では仙台市や大船渡市が取り入れた。支援の手が届かず、壊れた自宅に暮らす「在宅被災者」が注目されるきっかけになった。

 災害ケースマネジメントの先駆けとされる仙台市の支援活動は、仮設住宅の入居世帯が抱える課題を「生活再建可能」「日常生活支援」「住まいの再建」「日常生活・住まいの再建」といった類型に区分。シルバー人材センターと連携して全戸を訪ねるなどして、2017年3月末までに市内被災世帯の住まい再建につなげた。

 最大震度6弱を観測した16年の鳥取県中部地震を踏まえ、県は18年に全国で初めて災害ケースマネジメントを条例で定めた。こうした自治体主導による取り組みが続く中で「国が法制度として位置付けるべきだ」との声が相次ぎ、全国知事会や震災被災地の民間団体が制度化を求めた。

 岸田文雄首相は昨年12月の参院本会議で「多様な主体が連携した災害ケースマネジメントの仕組みづくりを進めたい」と明言した。内閣府は今年5月、災害時の被災者支援に関する有識者検討会を初めて開催。災害ケースマネジメントの普及を目指し、自治体での体制づくりやモデルとなる仕組みの確立、財政面や人材面での国の支援策を探っていく。

 住宅の壊れた程度で方策が決まる従来のルールは、社会的に弱い立場に置かれた被災者の意向が反映されにくいとされる。現在の支援制度は申請主義が基本で、独居被災者らが複雑な判断をするのは現実的に難しい。専門家が連携して助言を続けることで柔軟な対応が可能となり、支援の実効性も高まるだろう。

 参院選では物価高対策や安全保障が主な争点となり、復興はややかすみがちになっている。地震に加え、大雨、台風と全国で災害が相次ぐ中、震災被災地で顕在化した課題と向き合うことは、他の被災地での有効な施策にも通じる。重層的な支援に結び付けるため、各党の活発な論戦に期待したい。

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