東北の路線価 宮城上昇率2.9%で全国3位 青森など4県は下落

上昇率で東北トップの6・7%となったあすと長町大通=仙台市太白区

 仙台国税局は1日、相続税や贈与税の算定基準となる1月1日時点の路線価を発表した。東北6県の標準宅地の対前年平均変動率は0・7%プラスとなり、7年連続で上昇した。宮城が2・9%上昇し、福島が2021年の下落から上昇に転じる一方、青森など4県は下落し、地域間格差が広がった。

 宮城の上昇幅は前年から1・5ポイント拡大。上昇率は5年連続で全国3位だった。仙台市と通勤圏の多賀城市などで上昇が目立った。

 21年に0・1%マイナスだった福島は0・5%プラスと上向いた。郡山、福島市で住宅需要が安定的に推移した。

 青森、岩手、秋田の下落率はそれぞれ0・4%、0・2%、0・6%で、いずれも下落幅は縮小した。東日本大震災で被災した岩手の沿岸市町村は移転需要が沈静化し、下落が続く。山形は前年の横ばいから0・1%マイナスとなった。

 6県の税務署別最高路線価額の上位10地点は表の通り。仙台、福島、山形市の計5地点が上昇し、盛岡市の1地点は下落。郡山、青森、いわき、秋田市の4地点は変動なしだった。

 東北の税務署別最高路線価のうち、前年比で上昇率が最も高いのは6・7%だった仙台市太白区のあすと長町大通。JR長町駅東にある利便性に加え、商業施設や大規模マンションが集積し、人気を押し上げた。

 最高路線価のトップは66年連続で仙台市青葉区の旧さくら野百貨店前の青葉通。上昇率は全国1位だった前年の3・8%から1・1ポイント縮小し2・7%だった。

 6県の主要商業地(12地点)で上昇したのは仙台、山形、福島市の3地点。盛岡、一関市の2地点が下落、青森市などの7地点は変動なしだった。

 主要工業地(6地点)は仙台市の1地点が上昇。青森市などの5地点は変動がなかった。

[路線価]主要な道路に面した土地1平方メートル当たりの評価額で、相続税や贈与税の算定基準となる。対象は全国約32万5000地点の標準宅地で、そのうち東北は約2万2000地点。売買実例、不動産鑑定士の評価などを基に算定し、同一地点では、一般的な土地取引の指標として国土交通省が3月に発表する公示地価の8割程度の水準となる。国税庁のホームページで閲覧できる。

宮城の上昇、仙台圏がけん引

 仙台国税局が1日発表した2022年の路線価によると、宮城県内の標準宅地約6000地点の変動率の平均値は2・9%と、10年連続で上昇した。上昇率は北海道の4・0%、福岡県の3・6%に次ぐ全国3位。宅地開発が活発な仙台圏が全体をけん引し、前年比1・5ポイント増となった。

 県内10税務署の最高路線価のうち、仙台市太白区あすと長町1丁目の「あすと長町大通」は上昇率が県内で唯一5%を超え、6・7%となった。JR長町駅に近い利便性に加え、高層マンションや商業施設の立地が進み、人気がさらに上昇した。

 最高値は青葉区中央1丁目「青葉通」で2・7%増の1平方メートル当たり339万円。都道府県庁所在地の上昇率は前年の全国1位(3・8%)から9位となった。仙台市周辺でも上昇が目立ち、多賀城市中央2丁目の「多賀城駅北線通り」は3・3%増となった。

 大手不動産会社や投資ファンドなどは、オフィスビルやホテルより安定的な収益性が見込める分譲マンションの建設に乗り出す動きが目立つ。工業用地の取得も含めて仙台圏一極集中が顕著だ。

 税務署別の最高路線価で唯一下落したのは気仙沼市本郷の「県道26号通り」で前年比1・7%減。

 不動産鑑定士の千葉和俊氏(仙台市)は「沿岸部では東日本大震災からの復興需要が落ち込んだ。漁業や水産加工業が振るわず、宅地開発が低迷する要因になった」と指摘する。

 路線価は今後も仙台圏とそれ以外の地域格差が広がりそうだという。「燃料や資材の高騰に伴って建築費が上がったため、大規模開発の収益性が読みづらくなり、先行きは不透明だ」と話す。

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