(331)波引きて心もとなき裸足(はだし)かな/吉村 昭(1927~2006年)
裸足で遊ぶ波打ち際、寄せ波のとき海水は生暖かく足を包む。やがて引き波が、足に付いた砂も、浜に棒切れで書いた文字も、きれいに洗い去っていく。一瞬足元がさらわれていくような感覚がある。作者は小説家で、『…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。