風車最大72基、岩手北部で大規模計画 県が自然公園内への設置除外求める

平庭高原のシラカバ林

 岩手県北部の久慈市など4市町村にまたがる山間部に計画されている大規模風力発電事業を巡り、県が建設予定地から「久慈平庭県立自然公園」の除外を事業者に求めている。計画によると、国内最大規模の高さ205メートルの風車を最大72基設置する予定。県は知事意見として、群生するシラカバ林の景観維持やイヌワシなど希少な野生動物への影響を低減する必要があると指摘している。

想定区域1453ヘクタール

 事業者はインベナジー・ウインド合同会社(東京)で、事業想定区域は1453ヘクタール。巨大風車の最大出力は6100キロワットで合計出力は最大43万9200キロワット。県内では最大規模という。

 年間予想発電量は一般家庭約27万世帯分。総事業費は約1000億円。2026年ごろの着工を予定し、31年ごろの稼働を見込む。

 久慈平庭県立自然公園は、風力発電に適した風況とされる事業区域南側に含まれる。環境省が特定植物群落に選定するシラカバ林があり、国天然記念物で絶滅危惧種のイヌワシの生息地にもなっている。

 同社は、環境影響評価(アセスメント)に基づいた「計画段階環境配慮書」を県と4市町村に提出。県北広域振興局や市町村役場での縦覧を経た。6月に県環境影響評価技術審査会があり、専門家から植生や鳥類への影響を懸念する意見があった。

ほか3社も計画

 これを踏まえ県は今月7日、同社に達増拓也知事の意見を送付。(1)風力発電機などの設置検討に当たり県立自然公園や保安林を除外する(2)希少野生動植物への影響を回避または低減する(3)景観への影響に関する調査は地元自治体、地域住民の意見を踏まえる-などを求めた。

 同社の事業想定区域内では、ほかに3社も風力発電事業を計画している。いずれも県や市町村に環境配慮書を提出している。同区域で建設される風車は最大110基を超えるという。

 県環境保全課の阿部茂環境影響評価土地利用担当課長は「事業区域から自然公園を除外すべきだ。事業を計画する複数社が、一体的に環境への影響を考慮する必要がある。風車設置の場所や高さを含め協議してほしい」と話す。

 インベナジー社の小林幸一開発部長は「知事意見を踏まえ、より良い事業計画に反映させるため、県と設置場所について協議していく。他社とも協議しながら計画を進めたい」と説明している。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る