11キロつなぎ異例の「飛び地発電」なぜ? 宮城で計画、背景に売電価格

メガソーラー計画の想定地区となっている村田町菅生地区の山林

 8万枚以上の太陽光パネルが並ぶ施設と、約11キロ先のわずか1枚のパネルを電線を敷いて結ぶ大規模太陽光発電所(メガソーラー)が、宮城県内で計画されている。当初計画された仙台市太白区茂庭地区で開発が行き詰まったが、当時の業者が認定時の高い売電価格を維持するため、同地区の1枚に固執した異例の「飛び地発電」。8万枚以上が置かれる村田町菅生地区では大規模な山林伐採が想定され、住民が影響を不安視する。(大河原支局・伊藤恭道、報道部・小関みゆ紀)

条例で開発困難に

 事業を計画するのは、菅生太陽光発電合同会社(東京)。同社の計画資料などによると、太白区茂庭地区の山林約15平方メートルにパネル1枚を設置し、出力は0・66キロワット。村田町菅生地区の山林約65万平方メートルには8万3160枚を並べ、5万4886キロワットの出力を見込む。

 両施設間の約11キロは県道や町道などに電線を敷設する。2025年度に着工し、28年度以降の稼働を予定する。

 再生可能エネルギーの固定買い取り制度(FIT)に基づく茂庭地区での事業認定は14年。同社は、開発事業者から複数の転売を経て20年に用地を取得した。

 同社などによると、仙台市の「杜の都の風土を守る土地利用調整条例」で送電のための鉄塔を建設できないことが分かり、大規模な開発が困難となった。当時の事業者が、菅生地区に見つけた候補地と電線で結ぶ計画に改めたという。

FIT価格の維持狙い

 同社が茂庭地区の計画地に固執するのは、高い売電価格を維持する狙いがある。FIT認定を受けた14年は1キロワット当たり32円だったが、22年は9~10円で推移。菅生地区で認可を取り直した場合、認定時の3分の1となる現在の価格が適用されることになる。

 6日に県庁であった県環境影響評価技術審査会では、委員が「FIT価格を維持するため電線でつなぐ方が事業者として良いのだろう」と指摘。同社の関係者は「その通り」と認めた。

 今後、FIT認定を継続しながら飛び地の発電計画を進める場合、経済産業省から事業変更の認定を受ける必要がある。同社関係者は「法に従い、通常の手続きを行う。(転売は)現状考えていない」と話す。

 東北経済産業局の担当者は「計画地の隣地などに追加する場合を除き飛び地は基本的に認められないが、申請があってから個別に判断する」と説明する。

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