非常通報装置の設置進まず 宮城の幼稚園・保育所、全国平均の3割どまり

 重大事件の発生をボタン一つで警察に伝える「110番非常通報装置」の普及が、宮城県内の子ども関連施設で進んでいない。幼稚園や保育所などの設置数は全国平均の3割ほど。普及に取り組む団体は「子どもの安全確保のため、多くの施設で設置してほしい」と呼びかける。

ボタンを押すだけで警察に通報できる110番非常通報装置。県内では普及が遅れている=仙台市青葉区のカール英会話プリスクール

 装置は、強盗や不審者侵入といった事件が発生した際にボタンを押すと、県警本部の通信指令室に非常通報が伝わり警察官が駆け付ける仕組み。

 金融機関での導入例が多いが、2016年7月の相模原市の知的障害者施設殺傷事件を受け保育所や幼稚園でも普及が進む。日本防災通信協会(東京)によると、21年末の全国の子ども関連施設での設置数は1577カ所。16年末の2・5倍に増えた。

 5月末現在の県内での設置数は13カ所で、全国平均の36カ所を下回る。協会県支部(多賀城市)の担当者は「東北は首都圏に比べ治安がいい。施設側が設置の必要性を感じないためではないか」と分析。東北各県の平均設置数も11カ所にとどまっている。

 ただ、昨年11月に宮城県登米市豊里町の認定こども園「豊里こども園」に刃物を持った男が侵入し、殺人未遂容疑などで逮捕された事件を機に県内でも導入の動きが少しずつ広がる。保育所や幼稚園の職員は女性が多く、不審者侵入時の制圧が難しいことも設置を検討する一因になっている。

 今年3月に設置した仙台市青葉区の認定こども園カール英会話プリスクールの三浦敏枝園長は「登米市のような不審者侵入事件はいつ発生してもおかしくない。装置の設置は安心感も醸成できる」と話す。

 協会県支部によると設置費は約20万円で、運用費は月4000~5000円程度。設置に国の補助制度を活用できる場合もある。

 協会県支部の千葉泰忍統括支部長は「侵入した不審者を興奮させず、気付かれないように警察へ通報するためには装置が大きな武器になる。事件の早期解決は次なる事件を防ぐためにも効果的で、多くの施設で導入してほしい」と語る。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る