(377)目つむればここまでが指そこから桃/黒岩 徳将(1990年~)

 哲学者の廣松渉は、「身体的自我は知覚的世界の全域にまで拡大・伸長されうる」(『世界の共同主観的存在構造』)と述べた。桃に触れている「指の感覚」はアメーバ的で、指に触れている「桃の感覚」と混然一体としている。しかし目をつぶり経験を反省してみると「指」といういつも変わらない身体のパーツに生じている刺激なのだ、ここまでが指なのだ、と理解されてゆく。感覚が鋭敏になる気がする秋ゆえの気付きか。「俳句αあるふぁ」2020年秋号より。
(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。


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