岩手の沿岸自治体、犠牲ゼロへ「訓練徹底」「素早く避難」 津波被害想定公表で

 巨大地震による最大クラスの津波が岩手県沿岸を襲った場合、最悪で7100人が死亡するとの県の被害想定が公表された20日、東日本大震災で被災した沿岸自治体は「犠牲者ゼロ」への施策強化を改めて誓った。震災を超える被害が懸念される自治体もあり、避難意識のさらなる向上や確実な避難計画の構築が課題となる。

 久慈市は中心部が浸水想定区域と重なり、死者数は県内最多の4400人と推計された。市消防防災課の田中淳茂課長は「ハード面は時間も財源も必要。まずは避難訓練の継続実施や自主防災の組織率向上などを徹底する」と対応を急ぐ。

 市役所は震災で浸水被害がなかったものの、県の想定では最大6・85メートルの深さで浸水する恐れがある。市は移転も含めた対応を検討中。遠藤譲一市長は「発災後、すぐに避難を始めれば被害は大幅に減少することも示された。普段からの備えを市民にしっかり伝える」と語った。

 犠牲者数が最大2100人と予測された宮古市。市危機管理課の山崎正幸課長は「何も対策をしなければ、それだけの危険性がある。避難意識を高め、素早く行動すれば被害は必ず減らせる」と冷静に受け止める。

 今後は想定を詳しく分析し、被害の芽を一つ一つなくすという。最大級の津波に対応したハザードマップは作成中。山本正徳市長は「効果的で確実な避難計画を作り、訓練を重ねることで、一人も取り残さない津波対策を目指す」との談話を出した。

 釜石市は東北地方太平洋沖地震モデルの場合、死者数が990人と見込まれた。震災で犠牲となった1064人とほぼ同じ水準で、野田武則市長は「大変重い数字だと感じている」との談話を出した。

 市は一時的に身を寄せる緊急避難場所、生活の場となる拠点避難所を一部見直した。今後は地域住民に周知し、避難意識をどう高めるかが課題となる。

 市防災危機管理課の川崎浩二課長は「自主防災組織などが主体となって地域全体で意識を醸成することが大切。市も一緒に内容を練り上げたい」と話した。

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