(386)あなたなる夜雨の葛のあなたかな/芝不器男(1903~1930年)
掲句は作者が遊学先の仙台に到着し詠んだもの。夜の雨の闇の奥の「あなた」、多分白河あたりで汽車から見た葛(くず)を思い出し、さらにその奥の「あなた」に遠い故郷を想う。絵画というより動画のような、たった十七音で、旅のすべてを回想する見事な一句。芝不器男は愛媛県松野町生まれ。東北帝大工学部に在籍した。昭…
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