(383)新宿ははるかなる墓碑鳥渡る/福永耕二(1938~1980年)
秋、北国からさまざまな種類の鳥たちが渡ってくる。「渡り鳥」、動詞では「鳥渡る」。新宿は三大副都心の一つ。新宿のビル群が夕日に照る中を、鳥が渡る。渡り鳥は季節が来ると別の土地へと去ってゆくさすらいの生き物。が、人間はそうはいかない。日本一のマンモス駅の新宿で、電車に乗って家路につく人間たちも見えてく…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。