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ハトのふん害、近隣困った 仙台・住宅地で住民が餌やり ご近所問題注意できず

 「近所でハトに餌をあげる人がいて困っている」。仙台市若林区の住民から「読者とともに 特別報道室」に情報が届いた。現場の住宅地に足を運ぶと、数羽のハトが民家の屋根で羽を休めていた。近隣の住民はハトのふん害に悩まされているという。野生のハトへの餌やりによるご近所問題を探った。(報道部・高橋葵)

餌を食べに玄関先に集まったハト。白いふんが目立つ=仙台市若林区

条例なく市は個別対応

 現地を訪ねたのは9月上旬の午前6時。家主の男性が午前8時ごろ、玄関を開けて餌を入れたちりとりを軒下に置いた。すると、約20羽のハトがばたばたと羽音を立てて一斉に集まった。5分ほどかけて餌を食べ、ハトたちは玄関先から飛んでいった。

 住民によると、ふん害や散乱した羽毛の被害などは2016年前後に始まったという。餌やりが1日2~3回あり、そのたびに20羽前後のハトがやってくる。

 近隣では、2階や屋根にネットを張ったり反射材をぶら下げたり対策をしているが、効果はほとんどない。屋根やベランダの手すりなどがふんで汚れ、その度に水をまいて掃除している。中には屋根が傷み、塗装を塗り替えた家もあったというが、「近所付き合いがあるので注意できない」(住民)と嘆く。

 市街地で見かけるハトの多くは野生の「ドバト」で、鳥獣保護管理法で捕獲が禁止されている。餌をまいてドバトを自宅敷地に呼び込む行為は「捕獲に当たらず規制は難しい」(宮城県仙台地方振興事務所)という。

 若林区役所では16年、住民からの相談を受け、仙台南署などと鳥獣保護管理法に基づき餌やりをする家を訪問。その時は、家主への指導のみで終わった。しかし、すぐに餌やりが再開されたという。

 男性宅を訪ね、話を聞いた。「家で飼っているハトの餌が余ったのであげている。(近所に)迷惑をかけているとは思う」とふん害を認めたが、「今後もハトが来たら餌をあげると思う」と意に介さない様子だった。

 東京都世田谷区は18年4月、餌やりトラブルを受け、区内全ての場所でハトやカラスなど野鳥への餌やりを禁止する条例を施行した。同区環境保全課の担当者は「条例に基づいた根拠のある説明ができるので、相手が納得して餌やりをやめてくれるようになった」と効果を語る。

 野生鳥獣の保護を管轄する仙台市環境共生課によると、市で条例制定の予定はないという。担当者は「現在、仙台市で大きな問題にはなっていない。条例がなくても、相談があれば個別対応で対処できる」と話した。

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