(388)わたくしを捜す放送秋の暮/栗林浩(1938年~)
この句の「捜す」からは、認知症で家を出て徘徊(はいかい)し、行方が分からなくなった老人を、町内放送などで捜索しているように読める。当事者家族にとっては深刻な話でドキッとさせられる。しかし同時に、作者自身が「徘徊(俳諧)老人」となったような自虐的なユーモアも垣間見え可笑(おか)しさが漂う。「秋の暮」…
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- ・(386)あなたなる夜雨の葛のあなたかな/芝不器男(1903~1930年)
- ・(385)ときに犬さびしきかほを秋彼岸/山上樹実雄(1931~2014年)
- ・(384)踊りの輪止まりて夜風ほどけゆく/抜井諒一(1982年~)
- ・(383)新宿ははるかなる墓碑鳥渡る/福永耕二(1938~1980年)
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。