(399)玄関を出てあきかぜと呟きぬ/池田澄子(1936年~)
作者の行動そのままです。外に行こうと玄関を出ると、吹いてきた風に思わず「あきかぜ」と言葉がこぼれ落ちました。ひらがななのではっきりとした確信はないのかもしれません。古今和歌集には<秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる>という和歌がありますが、この句にも同じような感覚があります。…
関連リンク
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