(401)曼珠沙華二三本馬頭觀世音/寺田寅彦(1878~1935年)
道端の風化した石仏、だいたい馬頭観音だ。ところで、この句は全部漢字。旧字の「觀世音」にはおっかなさも感じる。そう、馬頭観音といったら、観音様が戦闘モードに変身した怖い姿のはずだ。でも、その辺にある野仏ではだいたいお優しい顔。曼珠沙華(彼岸花)は別名地獄花。すっかり里に馴染(なじ)んだ石仏も、炎のよ…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。